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「毎月5万円まで」に不満の声も。クレカ投信積立が人気

山口健太ITジャーナリスト
auカブコム証券がau PAYカードによる投信積立を開始(筆者撮影)

3月28日、auカブコム証券がau PAYカードを利用した投信積立を開始し、追加のキャンペーンを続々と投入しています。クレカ投信積立の人気が高まる中で、「毎月5万円」では枠が足りないとの声もあるようです。

クレジットカードを利用した投資信託の積み立ては、先行していたtsumiki証券(エポスカード)や楽天証券、スマートプラス(セゾンポケット)に続き、2021年にはSBI証券、2022年にはマネックス証券やauカブコム証券と、ネット証券の参入が相次いでいます。

その背景について、3月25日にauカブコム証券が開催した報道関係者向けのセミナーでは、経済ジャーナリストの酒井富士子氏が「コロナ禍におけるポイ活と投資のブームが融合したもの。主婦の間でも広まっている」と語っています。

コロナ禍ではECサイトでの買い物をきっかけに、楽天などのポイントをためる人が増加。また、ステイホームによって生まれた時間で投資に関心を持つ人が増え、ネット証券で口座開設が急増したのは記憶に新しいところです。

クレカ投信積立は「ポイ活」と「投資」の両方の要素を兼ね備えており、流行するのは必然といえるでしょう。女性ユーザーの増加も目立っており、楽天証券の新規口座開設では女性の比率が2016年の30%から2021年には46.7%に上がっています。

その中でauカブコム証券は、年会費無料の「au PAYカード」で低コストの投資信託を積み立てる場合でも、Pontaポイントの1%還元をうたっています。後発ではあるものの、ネット証券各社を比較しても悪くない条件といえるでしょう。

投信積立の決済方法に「au PAYカード」が加わった(auカブコム証券のWebサイトより、筆者作成)
投信積立の決済方法に「au PAYカード」が加わった(auカブコム証券のWebサイトより、筆者作成)

KDDIの携帯回線と組み合わせたキャンペーンでは、12ヶ月間限定ながらau回線では4%、UQ mobile回線では2%が通常のポイント還元に上乗せされます。既存ユーザーにはもちろん、キャリアの乗り換えを考えている人にとっても無視できない要素といえます。

さらにサービス開始当日の3月28日にはキャンペーンを追加。同じMUFGグループの三菱UFJ銀行と組んだ初めてのキャンペーンとして、「Money Canvas」からauカブコム証券の口座を新規開設することでポイント還元を上乗せします。

auカブコム証券に投資信託を入庫すると最大5000ポイントを付与するキャンペーンでは、他の証券会社から投資信託を移管する際にかかる手数料を軽減できそうです。SBI証券が手数料を全額キャッシュバックするプログラムに対抗する動きでしょう。

2022年3月29日追記:

auじぶん銀行からも発表があり、スマホアプリからauカブコム証券の投資信託の積立設定が可能になっています。

「毎月5万円まで」の裏に法規制あり

auカブコム証券を含め、複数の証券会社がクレカ投信積立を「毎月5万円まで」に制限しています。しかし「5万円では足りないという声がある。楽天証券で始めた人がさらにSBI証券などを検討していたところに、auカブコム証券でもサービスが始まった」(酒井氏)といいます。

5万円の根拠について、auカブコム証券は「金融商品取引法により一般的に金融商品のクレジットカード決済はできないが、内閣府令で例外として積み立てが許されている。他社と同様に5万円を上限としている」(事業開発部長の石井政徳氏)と説明しています。

内閣府令では「毎月10万円まで」となっているものの、クレジットカードの支払いサイクルを考慮して5万円を上限にしているとのこと。いまのところ、この枠を拡大する議論はないようです。

一方、楽天証券は6月下旬に「楽天キャッシュ決済」に対応することで、楽天カードとの合算で毎月の枠を10万円に増やす予定です。多くの枠を求める人は投資に回せる資金に余裕があると考えられることから、各社による囲い込み競争が激化しそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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