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楽天ユーザーを狙い撃ち? 「クレカ投信積立」にマネックスが参戦

山口健太ITジャーナリスト
マネックス証券が「1.1%還元」で参入(Webサイトより、筆者撮影)

マネックス証券が2月25日から「マネックスカード」による投信積立サービスの開始を発表しました。これまで1%と予告していたポイント還元率は、主要ネット証券最大という「1.1%」に引き上げ、攻めの姿勢を打ち出しています。

投資信託の積み立てにおいてクレジットカード決済の人気が高まっており、事前に入金する必要がなく、ポイント還元を受けられるなどのメリットがあります。たとえば楽天証券では、2021年4月に設定口座数が100万を突破しています。

しかし楽天証券はこれまで1%だったポイント還元率を見直し、9月以降は低コストの投資信託について0.2%に引き下げることを発表。そこへマネックス証券は「1.1%」をぶつけることで真っ向勝負を挑む形になりました。

プレスリリースでは他社との直接比較も(マネックス証券提供画像)
プレスリリースでは他社との直接比較も(マネックス証券提供画像)

SBI証券の還元率は基本「0.5%」ながら、三井住友カードのゴールドカードなどでは1〜2%還元を狙えます。さらに4月以降には東急カードとも組み、東急グループの利用が多いユーザーに向けて最大3%還元を仕掛ける構えです。

気になるのは、こうした還元がいつまで続くのかという点です。2月7日にマネックス証券が開催した発表イベントでも、「いつか改悪するのではないか」との指摘が相次ぎました。

これに対してマネックス側は「原則、1.1%は今後も継続していく」と説明しています。狙いとしては、グループで注力する投資信託「アクティビスト・ファンド」への流入や、マネックスポイントを子会社のコインチェックで暗号資産に交換する、といったシナジーを期待しているようです。

「月額5万円」では足りない人にも

投信積立にさまざまな選択肢が出てきたことで目移りしがちですが、重要なことはどのサービスを選ぶかではなく、長く続けることだと筆者は考えています。付与されるポイントが多いに越したことはありませんが、積み立てを続ける動機付けとしての役割を期待したいところです。

そういう意味では、たしかに楽天証券でもらえるポイントは少し減るものの、経済圏全体でのポイントのたまりやすさ、使いやすさといった点ではまだ優位性があります。また、新規に始める人にとって選択肢が増えたのは嬉しいところです。

筆者が注目しているのは、楽天に加えてSBIやマネックスで積み立てを「増額」するというアイデアです。最近ブームの「FIRE」は、年間支出の25倍の資産を作ることで達成できるとされていますが、投信積立のカード決済は各社ともに月額5万円という上限があります。

複数の証券会社のサービスをフルに活用することで、ポイントを得ながら月額5万円を超える額を積み立て、最速でFIREを目指す人が増えるかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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