Yahoo!ニュース

北朝鮮を攻撃しないアメリカと同盟を結んでいる意味はあるのか? ふざけるな、トランプ大統領!

山田順作家、ジャーナリスト
本当に彼で世界は大丈夫なのか?(写真:ロイター/アフロ)

 このところ、トランプ大統領というのは、とことんバカで臆病者なのではないかと思うようになった。この男がアメリカ大統領でいる限り、世界は平和と安定を維持できない。オバマ前大統領の弱腰もひどかったが、トランプの「口先だけ」は本当に情けない。

 北朝鮮にこれだけ挑発されたのだから、もう実力行使すべきだろう。なぜ、先制攻撃しないのか?

「もしグアムになにかあったら、北朝鮮に大変な惨事が起きる」「北朝鮮がグアムやアメリカの領土、同盟国に対して事を起こせば、真に後悔することになる。ただちに後悔するだろう」なんて言っているが、これは本気なのか?

 もし、本当に北がグアム周辺にミサイルを撃ったら、北に惨事を起こす気があるのか? 非常に疑わしい。

 

 もし、このまま、アメリカが北の核・ミサイル開発を無視し続け、なにもしないと仮定しよう。グアム周辺にミサイルを撃ち込まれても、なにもしないと仮定しよう。そうして、永遠にためらい続け、ついに北がワシントンに届くICBMを完成させ、実戦配備したらどうするのか?

 それは2年以内にやってくると言うが、本当にそうなったときは、完全に手遅れだ。北がいくら「トライアド」のうちの2つ、SLBMと戦略爆撃機を持っていないないとしても、ある程度の「相互確証破壊」は成立してしまう。

 つまり、その先は、なにが起ころうとアメリカは北と戦争ができなくなる。

 そうなれば、アメリカの権威は完全に失墜する。アメリカの世界覇権に穴が空き、パックスアメリカーナは消滅。世界中の反米国家、いやフツーの国家まで、北朝鮮がやったことを「学習」するだろう。

 すなわち、「この世界は結局力だ。核を持った者が勝つ」と。こうして、NPT体制は完全崩壊してしまう。

 それでいいのか? そうなった後の世界は、まさに「law of jungle」(弱肉強食)ではないのか? 核保有国の天下となり、世界から「公正」「正義」「自由」「人権」などという価値観はなくなり、「法と秩序」は消滅してしまうだろう。

 トランプ大統領には、こうしたことに対する自覚と責任感がない。ふざけるなではないか!

 北朝鮮とアメリカに相互確証破壊が成立すると、日本に対するアメリカの核の傘は自動的に消滅する。なにしろ、アメリカは北の核を事実上容認してしまうのだから、彼らが核で日本を脅かしても、アメリカは手出しができなくなる。日米同盟は無力化する。

 そうなったら、金正恩のやりたい放題だ。日本は北朝鮮に土下座外交をするしかなくなるだろう。経済制裁などとんでもない。脅かされてもバックにアメリカがいないのだから、従うしかない。韓国も同じだ。

 金正恩は、少なくとも韓国からのアメリカ軍の撤退を要求するだろう。韓国は、北の支配下に入ると見て間違いない。

 そんな状況を、私たちは容認できるだろうか?

 北の要求がいくら理不尽であろうと、従う以外の選択肢はなくなるのだ。それが嫌なら、私たちも核武装して、北との間で相互確証破壊を独自で成立させるほかなくなる。これをアメリカが止めることなどできない。なにしろ、アメリカは、時間切れで、北の核を事実上容認してしまったのである。

 というわけで、一刻も早く、アメリカに北朝鮮攻撃に踏み切ってほしい。こんなことは、お利口なメディア、評論家は誰も言わないが、これが、日本の国益にもっともかなうことである。現状を見る限り、もう対話は意味がない。主戦論こそが正しい。

 サウスカロライナ選出のリンゼー・グラム上院議員は言っている。

「北朝鮮の核ミサイル開発を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちらで死者は出ない」

 彼が言う「向こう」には、日本も含まれるかもしれないが、その犠牲を覚悟しなければ、私たちの未来はもっとひどいことになる。

作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

山田順の最近の記事