【Yahoo!ニュース 個人】5月の月間MVAとMVCが決定

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、5月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選6本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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5月のMVA

川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい(藤田孝典)

筆者による受賞コメント:まず初めに川崎殺傷事件で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。そして、被害に遭われた方、ご遺族に心からお見舞い申し上げます。加害者の凶行を絶対に容認することはできないし、このような悲惨な事件を二度と起こしてはいけないと思います。だからこそ、彼の社会に対する憎悪、怨恨、孤立感が犯行の引き金になったとしたら、私たちの社会は「ひとりで死ぬべき」以外のメッセージを発する必要性を感じました。「ひとりで死ぬべき」というフレーズは、加害者同様の思いを社会に対して持っている人間が目にしたとき、一層の憎悪や怨恨、孤立感を高めてしまうのではないでしょうか。本記事を契機に、社会的な論争が巻き起こったことは意義あることだと思います。「誰も死ぬな、殺すな」と多くの方が発する社会になることを希望します。

藤田孝典

選出理由: 川崎市で起きた殺傷事件でメディアやネット上で「自殺に他人を巻き込むな」「死にたいなら一人で死ね」という意見が相次ぐ中、いち早く警鐘を鳴らした1本です。生活困窮者支援の現場にいる筆者ならではの発信は大きな反響を呼び、多くのメディアでも「今後どうすべきか」の議論を喚起しました。

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「日本国紀」を巡る幻冬舎社長と作家との対立から見えた「出版村の終わりの始まり」(植村八潮)

筆者による受賞コメント:出版の常識が社会の非常識となる例が多くある一方で、ネットの正義が必ずしも根拠に基づかない感情論であったりします。これにネットの話題を拾って書き立てる新聞メディアが加わって、みごとに“炎上”。根拠を提示して、分かりにくい点が明らかになるように心がけています。

植村八潮

選出理由:波紋を呼んだ幻冬舎社長による作家の販売部数公表に関し、騒動がなぜ起こってしまったのか、その背景を出版業界の構造から解説した記事です。出版社、編集者、作家というそれぞれの立場を冷静に俯瞰(ふかん)して課題を浮き彫りにしています。

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グリーン車誕生50年。半世紀前のグリーン車を古い時刻表で振り返ってみると・・・(鳥塚亮)

筆者による受賞コメント:この度は月間MVAにご選出いただきましてありがとうございます。大変光栄の思いです。グリーン車が誕生して50年。ずっとその変遷を見守ってまいりましたが、最近では「ちょっとゆったりとした椅子だけ」で、他になにもホスピタリティのないグリーン車は客離れが激しく、どんどん衰退してきている感があります。せっかく半世紀にわたる伝統があるグリーン車ですから、もっと看板商品として「乗りたくなるような」仕掛けが欲しいという思いを込めて記事にしてみました。今後も鉄道が人々から移動の選択肢に残ってほしいと切に願っています。

鳥塚亮

選出理由:50年前の時刻表をもとに、グリーン車の歴史をひもといた記事です。当時小学生だった筆者がコレクションした切符の画像や大人に聞いた話も交えてその起源を考察し、おまけに食堂車のメニューまで紹介。長年にわたる鉄道愛とともに、情報が詰まった時刻表の魅力と楽しみ方を教えてくれます。

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【北アイルランド・ルポ】暴動に巻き込まれて亡くなったジャーナリスト その背景とは(小林恭子)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただき、ありがとうございます!4月、北アイルランドで女性ジャーナリストが民兵組織「新IRA」の流れ弾に当たって亡くなったというニュースが世界中に流れました。十数年前から北アイルランドで取材をしていたのですが、宗派間の違いによる社会の深い分断を前に自分の非力さに失望し、足が遠のいてしまいました。でも、ジャーナリストの死で「とにかく自分の目でもう一度見てみよう」と強く思い、ベルファスト、そしてロンドンデリーに飛びました。記事を読んでくださった読者の方々、機会を与えていただいた「ニュース個人」に感謝いたします。

小林恭子

選出理由:暴動の取材中に亡くなったジャーナリストのマッキーさん。筆者は飛行機で現場のロンドンデリーに向かい、友人らに取材を重ね、マッキーさんの人柄や功績を伝えました。普段あまり目にすることのない北アイルランドの紛争の歴史も知ることができる貴重な記事です。

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終わりが見えないNGT48問題──AKS社と第三者委員会が招いた混迷(松谷創一郎)

筆者による受賞コメント:今回のNGT48の問題は、夢と希望を持つ若年者からの搾取の問題──つまり、人権問題としての側面が強いと捉えられます。日本では学校現場や高校野球など若年者をめぐる議論が続いていますが、芸能界のこうした問題もそれと地続きとして読み直す必要があるでしょう。芸能界は、常に独特の象徴性を帯びます。今回の一件をイジメ問題と重ねる向きがありますが、それは「芸能界で許されるならば、学校でも許されるだろう」とする風潮が強まるリスクを感じるひとが多いことの反映です。これを一部の極端な世界の問題として処理することとは、そうした想像力を排除することにほかなりません。この問題を通じて、多くのひとが日本における若年者の問題を考えていただければ幸いです。

松谷創一郎

選出理由:元NGT48山口真帆さんの卒業公演当日に公開された記事です。多くのメディアが山口さんの周辺話題を伝える中、筆者は一連の問題の背景を第三者委員会の調査報告書からひもときました。また、AKS社の内情にも踏み込み、この問題に対するメッセージを最後に問いかけました。

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湘南戦の大誤審に欠けていたエンパシー。Jリーグの『大問題』が明らかになった(清水英斗)

筆者による受賞コメント:『エンパシー』(共感)は、昨今の審判に関する議題ではキーワードとなる言葉です。共感といえば『シンパシー』も知られていますが、これは相手の出来事に対し、自分が主体となって「哀しみ」「喜び」などを感じるものです。一方、エンパシーは相手の状況を感じ取り、自分ではなく相手の気持ちになって「哀しみ」「喜び」といった感情を分かち合います。自分主体か、相手主体か。似ているようで違います。エンパシーはサッカーに必要な要素であり、また日本のサッカーも、社会にエンパシーを根付かせるスポーツであってほしいと願います。

清水英斗

選出理由:Jリーグの試合で起きたゴール判定の大誤審、その背景にある課題について指摘しています。試合にかかわった審判の責任だけではなく、審判という職業を取り巻く環境や、選手と審判のコミュニケーションのあり方など独自の視点で解説した記事です。

5月のMVC

『【その壁を超えてゆけ】井上尚弥、3カ月前の絶不調クリアし挑む最強決定戦』の記事へのオーサーコメント(渋谷淳)

筆者による受賞コメント:ボクシング界のスター、井上尚弥選手が試練を乗り越え、イギリスのリングに立つ姿を描いた記事にコメントさせていただきました。試合は2回TKO勝ちで、またしても井上選手の強さばかりが際立ちましたが、試合までのストーリーを知ることで、勝利の価値をより一層味わうことができたのではないでしょうか。これらも“井上ウォッチャー”の一人として、冷静な視線を忘れず井上選手を追いかけたいと思っております。

渋谷淳

選出理由:世界の注目を集めた井上尚弥選手のWBSS準決勝。筆者は現地で取材を重ね、前日の様子や試合に挑む心境について解説しました。「試合は後半まで行くのでしょうか?」という部分も秀逸です。