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【深読み「鎌倉殿の13人」】堀田真由さんが演じる比奈は、どうやって北条義時と結ばれたのか

渡邊大門株式会社歴史と文化の研究所代表取締役
小栗旬さんが演じる北条義時は、どうやって比奈と結ばれたのか?(写真:つのだよしお/アフロ)

 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の22回目では、堀田真由さんが演じる比奈が北条義時と対面した。どうやって2人が結ばれたのか、詳しく掘り下げてみよう。

■比奈とは

 北条義時の妻といえば、これまでのドラマのなかでは、新垣結衣さんが演じる八重だった。しかし、八重については、これまで申し上げたとおり、本当に妻だった可能性は低い。残された史料からは、そうとは言いきれない。

 今回、登場したのは、堀田真由さんが演じる比奈である(「姫の前」とも)。比奈は比企朝宗の娘として誕生した。生年は不詳である。朝宗は、遠宗と比企尼(頼朝の乳母)の子といわれている。

 成長した比奈は、頼朝に仕える身となった。比奈は大変美しかったので、たちまち頼朝のお気に入りになった。「当時権威無双の女房なり」と『吾妻鏡』に書かれているので、頼朝の威勢をバックにして、権勢を振るったものと考えられる。

■北条義時のアプローチ

 比奈は美しいといわれていたので、北条義時が夢中になるのには、さほど時間が掛からなかった。義時は比奈と結ばれたいと思い、昔のことなので、約1年にわたってラブレターを送り続けた。しかし、比奈は義時の熱烈なアプローチに対して、決して色よい返事をしなかった。

 義時の状況を見かねた頼朝は、義時を呼び出すと「離婚は絶対にしません」という起請文を書かせ、比奈に送った。これにより、2人は結ばれたというが、創作臭がしないわけではない。

 建久3年(1192)9月25日、義時は晴れて比奈を妻として迎えた。頼朝が征夷大将軍に就任したのがその2ヵ月前なので、何らかの政治的な意図があったのかもしれない。それは、配下の義時と比企氏が姻戚関係になることで、いっそうの紐帯を強めるという目的があった。

■まとめ

 その後、2人の間には、次男の朝時、三男の重時が誕生した。こうして幸福な生活を送った義時と比奈だったが、のちに比企能員の変という悲劇が勃発する。その辺りは、追々取り上げることにしよう。

株式会社歴史と文化の研究所代表取締役

1967年神奈川県生まれ。千葉県市川市在住。関西学院大学文学部史学科卒業。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、株式会社歴史と文化の研究所代表取締役。大河ドラマ評論家。日本中近世史の研究を行いながら、執筆や講演に従事する。主要著書に『大坂の陣全史 1598-1616』草思社、『戦国大名は経歴詐称する』柏書房、『嘉吉の乱 室町幕府を変えた将軍暗殺』ちくま新書、『誤解だらけの徳川家康』幻冬舎新書、 『豊臣五奉行と家康 関ヶ原合戦をめぐる権力闘争』柏書房、『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』星海社新書、『関ヶ原合戦全史 1582-1615』草思社など多数。

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