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【梅雨入り】ジメジメ時期は除湿?冷房? 電気代高騰でも快適と節電を両立するエアコン利用術とは

和田由貴節約アドバイザー/消費生活アドバイザー
梅雨時は除湿と冷房どちらが最適?(写真:イメージマート)

電力大手7社が国に申請していた電気料金の値上げが了承され、6月の使用分から電気料金の値上げが実施されています。値上げ幅に差はありますが最大で40%程度となっています。

現在は国の激変緩和対策により、9月請求分までは1kWhあたり7円、10月請求分は1kWhあたり3.5円の補助金が出ていますので多少の軽減にはなっていますが、今回の値上げを受けて負担増は避けられないでしょう。

そうなると気になるのがこの夏の電気代。まだ夏本番前ですがじめじめと暑い日も多く、エアコンの使用を開始した方もいると思います。

今からできるエアコンの節電対策と梅雨時の上手な使用方法について解説します。

試運転とメンテナンス 室外機も確認を

まだ今シーズンエアコンをつけていない方は、すぐに試運転をしてください。夏本番になってから不具合が見つかっては大変です。試運転の方法は、運転モードを冷房にし、設定温度を最低にして10分間運転をします。室内機室外機ともに問題なく作動しているか、室内機の吹き出し口からきちんと冷風が出ているか、異臭や異音、水漏れなどがないかを確認し、何か異常があった場合は早めにメーカーなどへ問い合わせを。

シーズン前にはお手入れも大切です。室内機はフィルターを外し、ほこりを掃除機で吸い取ってから水洗いをし、よく乾かしてから装着します。フィルターを外した奥の熱交換器(アルミフィン)にカビ汚れが発生している場合は、メーカーやプロの業者に内部洗浄を依頼しましょう。市販の洗浄スプレーの使用は、汚れを落としきれず奥に詰まってしまったり、ドレンホースが詰まって水漏れを起こすことがありますので注意してください。

フィルター掃除機能が付いているエアコンの場合も、ほこりをためるダストボックスの清掃や、取り切れていない汚れがないかチェックを。特にダイニングキッチンなどに設置したエアコンや喫煙をするお宅の場合、調理時の油煙やたばこのヤニ汚れはフィルター掃除機能では取り切れません。

室外機も同時にお手入れを。もしオフシーズンに室外機カバーをかけていた場合、忘れずに外してください。室外機の背面や風の吹き出し口を塞いでしまうと無駄な電力がかかるだけでなく場合によっては故障の原因になります。室外機周辺に物をたくさん置く、雑草が茂る、などでも風通しが悪くなりますので気をつけましょう。

室外機の裏側や側面を見ると熱交換器(アルミフィン)がありますが、この部分にほこりや汚れが詰まっていると、十分に熱を逃がすことができず余計な電力がかかるので掃除が必要です。ただし、フィンは非常に薄く破損しやすいので、掃除の際はやわらかいブラシなどで丁寧に扱いましょう。水をかけても大丈夫ですが、下から内部に水が入るようにかけたり、高圧で水をかけたりすると故障の原因になります。

「除湿」運転は適切に 冷房が一番除湿する場合も

エアコンの除湿運転は「除湿」と名がついているからには冷房よりも湿気をたくさん取ってくれそうなイメージがありますが、実は間違いです。

エアコンは、空気を冷やして結露を作り、その水を外に排出することによって除湿をします。これは冷房運転でも除湿運転でも同じです。冷房運転の場合、除湿したあとの冷たい空気をそのまま室内に噴き出すので室温も下がります。一方、多くのエアコンに搭載されている除湿機能は「弱冷房除湿」と呼ばれ、その名の通り弱い冷房のようなもの。弱いので室温はあまり下がらず除湿量も少なくなります。

一部の機種には「再熱除湿」と呼ばれる除湿機能が搭載されていますが、これは冷やして結露を排出した後の空気を内部ヒーターで暖めなおして室内に吹き出す仕組み。室温はあまり変わらず除湿できますが、除湿量は冷房よりも少なくなります。また、空気を暖めなおすため電気代は冷房運転よりも多くなります。

出典:ダイキン「冷房と除湿はどう違う?」
出典:ダイキン「冷房と除湿はどう違う?」

除湿運転は、梅雨時など室温は低いけど湿気が多い時に活躍する機能ですが、上記の通り機種によっては冷房より電気代が高くなることもあります。また除湿量だけをいうと冷房が最も優れているので、単純に暑い時には冷房運転の方がおすすめです。

室温28度は「設定温度」ではない エアコンは我慢しないで

今の時期、夏本番ほど気温は高くないから蒸し暑いけどエアコンは我慢しよう、と考えるのは危険です。室温が28度の場合でも湿度が65%を超えると熱中症への警戒が必要になるのです。

(出典:日本生気象学会 日常生活における熱中症予防指針

また、節電のためにエアコンの設定温度は28度にこだわるのも危険。エアコンの機種や外気温などその時の条件によっては、設定温度28度でも室温が28度になるとは限りません。28度は設定温度の目安ではなく、あくまで室温の目安です。

環境省のサイトにも、

冷房の設定温度を28度にしても、室内が必ずしも28度になるとは限りません。そういう場合は、設定温度を下げることも考えられます。

「クールビズ」で呼び掛けている「室温28度」は冷房の設定温度のことではありません。

(出典:環境省COOLCHOICE「どうして「28度」?」

とあります。

設定温度にこだわるのではなく、室温を確認しながら適切にエアコンを使用してください。

資源エネルギー庁によると、冷房を1日1時間短縮した場合(設定温度:28度)年間で(冷房期間112日)約580円の節約とあります。

(出典:資源エネルギー庁省エネポータルサイト「家庭でできる省エネ」

つまり、エアコンの機種や外気温などの条件にもよりますが、1時間エアコンを我慢したとしても5円強しか節約にならないということです。エアコンは極端に設定温度を低くしなければ、そこまで膨大な電気代がかかるものではないのです。

電気代を節約したいあまりエアコンを我慢し、体調を崩しては元も子もありません。どうか無理をせず、エアコンを適切に使いながらの節電を心がけてください。

節約アドバイザー/消費生活アドバイザー

消費生活アドバイザー、環境カウンセラー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザー、3R推進マイスター(環境省第一期国推薦委嘱)など、多数の資格や経験を活かし、消費生活や節約術、省エネ、家事の専門家として活動。専門分野は食費・光熱費・交通費・レジャー費など生活全般の節約、エコライフ、買い物、100円ショップ、そのほか消費生活アドバイザーの立場から製品安全や消費者問題、環境教育などにも携わっており、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。「ホンマでっか⁉︎TV」節約評論家をはじめ、テレビ出演、講演、執筆など幅広く活動中。

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