物価上昇の勢いが止まりません。

調査会社「帝国データバンク」が4月に実施した「食品主要105社」価格改定動向調査によると、食品メーカー主要105社のうち7割超が今年4月以降1年以内に値上げをすると回答。今年に入ってから値上げした品目は累計6,000品目超におよび、価格は平均で1割アップとの結果を発表しました。実際に身近な商品の値上げが次々と報じられています。

これらの物価上昇の要因は、コロナ禍の影響による供給網の混乱や天候不良による世界的な食料品相場の上昇、原油価格の高騰に伴う物流費や原材料費の値上がりが挙げられます。また急激に進行している円安によるコスト増加、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻といった世界情勢の影響も大きく、今後さらに値上がりが続く可能性が高いとみられています。

食品だけでなく日常生活に欠かせないさまざまなものが価格上昇している中、私たちは家計防衛のためにどのような対策をすれば良いでしょうか。

値上がり前にまとめ買いすべきか?

値上がりするなら安いうちにまとめ買いをしておこうと考えてしまいますが、これも良し悪しです。

食品や日用品などは、定価が多少上がっても、その値上がり分を上回るくらいの値引きセールが行われることも少なくありません。地域のスーパーなどの特売情報をまめにチェックしてみましょう。チラシが無料で見られるアプリを活用すると便利です。

参考:国内最大級のチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」

また、たくさんまとめ買いをし、余計に消費を増やしてしまわないよう注意が必要です。特に酒類やカップ麺、ジュースやお菓子などの嗜好品は、なければ食べないけどストックがあるとつい食べてしまう、なんて経験もあるのではないでしょうか。ティッシュペーパーや洗剤などの日用品も、たくさんストックがあると大切に使おうという意識が薄れてしまうものです。

値上げ前のまとめ買いは、多少安く買えたとしても一時しのぎにしかなりません。慌ててたくさん買いだめするのは根本的な値上げ対策にはならないので、ほどほどにしましょう。

家計防衛のためにすべきこと

値上がりする食品や日用品、光熱費やガソリン代、これらを何とか安くしようとしても限界があります。家計を見直し、値上がり分は他の部分から節約をする方が現実的です。

①食品のロスを減らす

食費節約の基本は、いかに安く買うかより買ったものを無駄なく使い切ることです。買い物をする時点で捨てるつもりで買う人はいないと思いますが、食品の場合は意図せず廃棄につながるケースは少なからず起こります。

本来食べられるのに捨てられる食品を「食品ロス」と呼びますが、日本における食品ロスの量は年間570万トン。国民一人当たり、毎日お茶碗約1杯分(約124グラム)を捨てている計算になり、このうち半分近くは家庭から排出されています。(農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢<令和4年2月時点版>」より)

特に注目したいのは、食品ロスの半分近くは野菜類(47.7%)であること。つまり野菜のムダ買いは食品ロスに直結しやすいので十分に注意が必要です。(農林水産省「平成26年度食品ロス統計調査報告(世帯調査)」より)

野菜のムダ買いを防ぐには、必要な量を必要なだけ買うこと。例えばきゅうりが1本40円3本100円で売られていたら、3本買わないと損な気がしますが、もし3本買って2本しか使えず1本腐らせてしまったら1本50円で買ったのと同じことになります。使い切れそうにない野菜は、小分けのパックやカット野菜、冷凍野菜を利用するのも良い方法です。玉ねぎやじゃがいものような保存期間が比較的長いものは良いですが、足のはやい野菜は多少割高だったとしても、使い切ることを優先して選びましょう。

野菜を無駄に買いすぎないためには、買い物をする順序も重要です。スーパーに買い物に行くと入口近くに野菜や果物が売られていることが多く、ほとんどの人は入口から順序通りに買い物をするでしょう。ですが、食事の献立を考えるときには、ハンバーグ、焼き魚、とんかつ、などのように肉や魚などメインのおかずから考えるのではないでしょうか。メインが決まらなければ付け合わせや副菜になる野菜も決まりません。ですから、買い物をする順序もメイン食材を選んでから野菜を選ぶようにすると、野菜の買いすぎを防ぐことができます。

②固定費から見直す

家賃や住宅ローン、保険料、自動車の維持費、通信費などの固定費は、見直しによる支出削減が大きく、一度見直しすれば継続的に節約効果が望めるものです。中でも通信費は、MVNOや2021年から登場した大手キャリアのオンライン専用プランなどへの乗り換えによって大幅な節約が可能になっています。

固定費の見直しをしようとすると、多くの場合は契約の変更や解約などの手続きがあり、食費などの変動費とは異なり面倒ではあります。また、節約効果もきちんと調べなければわかりにくく、どうせ大して節約にならないのでは?といった思い込みから行動に移せない方も多いでしょう。

固定費節約の敵は「面倒くさい」と「思い込み」です。心当たりのある方はぜひ一歩踏み出して見直しを実行してみてください。

③節約のための投資をする

あれもこれも値上がりする局面になると、できる限り買うことを控えて支出を減らそうと考えてしまいますが、むしろ買った方が節約になるものであれば積極的に買うことも必要です。

例えば節水シャワーヘッドの場合、節水効果30%の製品であれば1日10分シャワーを使用すると、年間で節約できるガス水道代の合計金額はおよそ1万円になります。一般的な節水シャワーヘッドなら2~3千円程度で買えますので、購入した方がはるかに節約になります。同様に、冷蔵庫やエアコン、照明器具などの家電や給湯器なども、古い製品を使い続けるより省エネ効果の優れた製品に買い換えた方が節約になるケースもあります。

また、近年では省エネ家電普及推進のため、購入や買い換えに補助金やポイントを発行する自治体もあります。一例をあげると、東京都が実施する事業「東京ゼロエミポイント」は、エアコン・冷蔵庫・給湯器を、省エネ性能の高い製品に買い換えた都民に対して、商品券とLED割引券に交換できる「東京ゼロエミポイント」を付与するものです。付与されるポイントは最大21,000ポイントで令和5年3月31日まで実施中です。このような事業は他の自治体でも度々実施されていますので、ぜひチェックしてみてください。

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現在の物価上昇は一時的なものではなく、当面続く可能性があります。その場しのぎの節約では解決しないでしょう。この機会にさまざまな角度から家計支出を見直してみてください。