人は自分の過去や自分自身についての歪んだ物語を作り上げ、その物語に支配されている。そんな物語から解放されよう。私たちは、もっと自由に生きられるのだ。

■ナラティブ療法(ナラティブ・セラピー)とは

まだ、あまり聞いたことがない心理療法の一つですね。ナラティブ療法を受けられるところは、まだほとんどないかもしれません。

心理療法としてナラティブ療法を受けなくても、ナラティブ療法について学ぶことは、あなた自身の心の癒しにつながるでしょう。その知識は、だれかを助けることにもなるでしょう。

もちろん、生半可な知識で心理療法などするべきではありません。中途半端な知識で外科手術をしたり、薬を処方したりすれば、違法ですし、とても危険なのと同じです。

でも、医学の知識を学んだり、看護技術を学ぶことは、あなたの健康にとっても役立つでしょうし、いざとなれば、誰かを助けることにもなるかもしれません。

心理学の知識も同様です。本格的なセラピーを行うわけではありませんが、その知識はきっと役に立つでしょう。

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「ナラティブ」とは、「語り」「物語」といった意味です。問題を抱えて悩む人を、ナラティブ(語りや物語)を通して支援する方法です。

あなたの親はどんな親でしたか?

あなたの小学校時代は、どんな学校生活でしたか?

そのように質問されたら、それぞれの人が自分の思いを答えるでしょう。せつせつと、辛かったこと苦しかったを語る人もいるでしょう。でも、それは真実でしょうか。

いえ、決して嘘をついているという意味ではありません。

ただ、たとえば「お母さんは、私のことを少しもほめてくれなかった!」と母親に言えば、ほとんどの母親は「そんなことはない、ほめることもあった」とか「私はたくさんほめた、ほめて育てた」と言うでしょう。

もちろん、母親が言うことが事実というわけではありませんが。

そして、問題を抱えている人に説教して親孝行の思いを起こさせるのではなく、カウンセラーが偉そうに何かを解釈するのでもなく、「物語」を紡ぎなおすことで問題改善を図るのが、ナラティブ療法です。

■ナラティブ療法の実際