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いじめの心理学:なぜいじめるのか、どう防ぐのか

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
イラストはイメージ:いじめで苦しむ子をなくしたい(提供:SENRYU/イメージマート)

「『いじめ』などとは呼ばずに、いじめは犯罪なのだから傷害罪とか脅迫罪と言え」と主張する人もいます。

しかし、朝学校に来ても誰も挨拶しないとか、遠足の班決めでどこからも声がかからないなどは、刑法では罰せられません。

あるいは、ノートの1ページにいたずら書きなどは、器物損壊ですが、被害額はわずかであり、起訴されるようなものではありません。

ただ、いじめは客観的には小さなことでも、被害者に大きなダメージを与えるものです。刑法の問題だけではなく、いじめの問題を考えなくてはなりません。

今回は、いじめる側の心理、被害者の心理、いじめが起きやすい環境などを心理学的に考え、いじめ問題を理解し、いじめを防ぐ方法を考えたいと思います。

○いじめの分類: けんか、いじわる → いじめ →いじめ非行

けんかは、双方でやり合うものですが、いじめは一方的です。いじめを放置すると、次第にエスカーレートし、強要罪や傷害罪、恐喝罪に当たるような飛行行為にも発展します。

こうなると、いじめることの心理的快感プラス実際的な利益も得てしまうので、いじめ行為が続いてしまいます。

○いじめ集団の四層構造: 被害者、加害者、観衆、傍観者

この4層構造は有名ですね。4つ含めていじめ関連行動と言われることもあります。いじめをはやし立てる観衆だけでなく、ただ見ているだけの傍観者の存在も、いじめを加速します。また、見ているだけの自分を責めることで苦しむ人もいます。

○いじめと同調行動、原因帰属、コミュニケーションの方向

いじめは、意地悪な子が行う。いえ、それほど単純ではなく、また根が深いものだということが、次のような社会心理学の研究からわかります。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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