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人はなぜ人を攻撃し、攻撃しないのか:攻撃と怒りの社会心理学

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:怒りが爆発することもあります。でも、それでも相手を選ぶものです。(写真:アフロ)

<必要な怒りもありますが、身を亡ぼす怒りもあります。効果的な攻撃をしたいですが、攻撃されるのは嫌です。では、どうすれば良いのでしょうか。心理学からお伝えします。>

■攻撃行動とは

攻撃行動とは、意図的に他者に身体的・精神的な危害を加えようとする行動でです。にらむのも、悪口も、脅すのも、殴るのも攻撃です。間違えて足を踏んでしまうのは、攻撃ではありません。

■攻撃の種類

大きく分けて2つの攻撃があります。

1敵意的攻撃(感情的攻撃、衝動的攻撃)

これは、カーっとなって、怒りが爆発して起こる攻撃です。つい子供や部下を怒鳴ってしまったり、居酒屋で友人と喧嘩するようなパターンです。

2道具的攻撃(戦略的攻撃、制御的攻撃)

これは、感情的に怒っているわけではありません。「ちょっと金を貸せ!」「そこはオレの席だ、どけ!」と、怒鳴ったり威嚇したりすることがありますが、金を手に入れるための攻撃、席に座るための攻撃です。

■なぜ攻撃するのか。攻撃行動の目的

さまざまな目的で攻撃をしますが、一つは「防衛」です。何かを守るための攻撃です。なわばりを守る、子供を守る、誰かが近づいてきたら攻撃して追い返そうとするような行動です。

「強制」もあります。無理やりどかしたり、金をださせたり、言うことを聞かせるための攻撃です。前を走る自動車にパッシングしてどかせるのは、この行動です。

「制裁」は、相手に罰を与えようとする行動です。失礼なことをした人をひっぱだくような行動です。相手を苦しめようとする行動です。

「印象操作」のための攻撃行動もあります。大統領が、国民から弱腰と思われないために、他国の大統領に強い言葉を発したり、時には戦争をしかけることもあるでしょう。

近づいてい来る怪しい男をにらみつけるのは、「あっちへ行け」という「強制」でもあり、「私を甘く見るな」という「印象形成」の面もあるでしょう。

これらの攻撃行動に、怒りがないときもあれば、怒りが伴うこともあるでしょう。

■怒りとは

怒り感情には、認知的、生理的、進化的、社会的な怒りがあります。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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