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買い物パニックの防ぎ方:マスク、トイレットペーパー、紙製品、米、冷凍商品、カップ麺、お菓子まで!?

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:東日本大震災後のスーパー(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

<都会で始まった買い物パニックが日本中に広がろうとしている。異常な大量買いではなく、冷静な買い置きを。みんなの力で、社会を守ろう。>

■次々品切れ、品不足?

店頭からマスクが消えてから、しばらく経ちます。この数日、トイレットペーパーもあまり見なくなりました。食料品は、当地新潟市は通常通り店頭に並んでいます。東京の一部の店舗では、食料品も品不足とも報道されています。

大震災の被災地といった特殊な場合(これは本当に流通が滞った品不足)を除くと、品不足は大都会で起きてきました。

何しろ人口密度が高いですし、「情報強者」が多いですし、便利な生活はわずかなバランスの乱れで、大きな混乱になりかねません。

大震災後のペットボトルの水不足も、電池の品切れも、地方都市ではあまり起こりませんでした。

けれども今回は、地方都市でも異常な大量買いによる品不足品切れが発生しています。

いったい、どうしたことでしょう。

■パニックはなぜ起こる

「パニック」は、人々の注目を集めます。多くのパニック映画があります。マスコミも、パニックを積極的に報道します。

しかし、実際はパニックは簡単に起きません。それでもパニックが起きるのは、こんな場合です。

じっとしていたら死んでしまう(死ぬような大変なことになる)→助かる方法はある→助かる人数は限られている→早い者勝ちである→自分だけでも助かりたい

この状況が、パニックが起きる環境です。

ここで、パニックを引き起こすきっかけを作る人が現れます。

パニック映画でよくある場面ですが、不安が高て同時に体力行動力のある人が、突然大声で叫びながら走り出します。これで、人々の不安な心に一気に火がつきます。

大群衆が雪崩のように動き出し、出口や救命ボート、食料や薬に向かって走り出します。弱者の人々は、転び、踏みつけられ、うめき声を上げています。

優しい人が助けようとしても、後ろから次々と人が押し寄せ、助けることができません。さらに混乱が激しくなれば、元気なは人まで押し倒されます。みんなが冷静に行動すれば全員助かったのに、結果的に大勢の人が犠牲になることもあります。

映画なら、ゾンビより宇宙人より人間が怖かったということになります。

現実の話でも、「群衆雪崩」が起きて多くの人が死傷したり、雑居ビルで人々が焼死することもあります。

買い物パニックも、一部の人が大量買いし、品不足情報がマスコミやネットで広がり、さらなる買い急ぎが起きています。

また今回の新型コロナウイルス騒ぎは、他の災害とは違って、日本中の人が我がこととして感じているのでしょう。ネットの普及も、問題拡散の一因になっていると思います。

トイレットペーパーはなぜ消えたのか:みんなのことを考えることがあなたの家庭を救うことに

■パニックを防ぐために

まず、パニックが起きる環境成立を防ぎましょう。本当に大地震が起きた直後などは、人々は感動的に助け合います。災害心理学で言う「災害時パラダイス」の発生です。

買い占めなどの買い物パニックは、被災地から離れた東京のような場所で起きます。

原発事故後、ミネラルウォーターがないと死ぬようなことが起こると思った人がいました。この人たちが大量買いを始め、その様子が報道によって広がり、また空になった商品棚を見て、パニック買いが広がりました。

新型コロナウイルスは脅威です。しかし、今その商品が山のように自宅にないと死ぬようなことが起きるでしょうか(もちろん、なくなれば困りますけれども)。

今、目の前の棚は空っぽでも、本当に全国的な品不足が起きているのでしょうか。政府も、業界も、スーパーの店長も、商品在庫は十分あります、どうぞ慌てないでと、言っています。

この人たちはみんな嘘つきでしょうか。今、工場は止まり、原材料は底をつき、巨大な製品倉庫も空っぽなのでしょうか。ただ国民を落ち着かせるために、関係者一同で大嘘をついているのでしょうか。

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例年、米余りが話題になります。大量の古米が備蓄されています。平成5年には、凶作による本当の米不足が起きました。この時も困りましたが餓死者など出るわけがありません。このあと、備蓄米はさらに増えたそうです。食べてもらえれば、大歓迎です。

突然の休校で給食もなくなり、食材が余ると、関係業者は困っています。給食食材の即売会も開かれました。酪農家も、牛乳余りを心配しています。牛乳は、生産調整ができないからです。

食料も紙製品も救命ボートも、十分にあると思えることがパニックを防ぎます。

船の事故では、女性と子供を先にボートの乗せます。それが正しいかどうかは別にして、早い者勝ち状況を防ぐ秩序は大切です。

そして、パニックのきっかけを防ぐことが大切です。

映画だと、叫びだし走る出そうとする人を、主人公が怒鳴りつけたり殴ったりして、静かにさせるでしょう。群衆の前で、威嚇射撃をすることもあります。

異常な大量買いは、社会的迷惑行為だとという雰囲気を作りましょう。

リーダーの存在は大切です。リーダーの言葉、態度で、パニック状態は落ち着きます。総理とか、知事、市長とか、町内会長とか、店長ですね。

マスク以外の紙製品、食料品のパニック買いは、まだ日本中には広がってはいません。各地域の皆さん、地域の底力を見せてください。

■パニック買いを防ぎつつ生活を守るために

この先、新柄コロナウイルスがどうなるのか、わかりません。予想以上に早く収束するかもしれませんし、いったんはある程度悪化するかもしれません。

何かが今不足しているている。そうだとしたら、次は何が不足するだろう、と考えることは正しいと思います。

生活を守ることは大切です。でも、パニック的な大量買いは社会的混乱を生み、結局あなたの家庭も危機的状況に追い込まれます。

自分と家族を守るために、まだ不足する前に、少しの買い置きはいかがでしょう。いつもより、1つ2つ多めに買って家庭内備蓄をすることは、普段から政府も勧めていることです。

情報に強く、行動力もあるなら、みんなの迷惑になる大量買いではなく、冷静な買い置きをしましょう。すでに買い置きがある人は、買い物を控えましょう。

パニックは、自分だけが助かろうと思うことで発生します。自分の家族はもちろん大切ですが、みんなで助かろうとする思いで、地域を守り、日本のみんなを守りましょう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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