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被災地でがんばっているみなさんへ:一番大切なものを守るために:九州北部豪雨

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
九州北部豪雨 福岡県朝倉市(写真:ロイター/アフロ)

被災地でがんばっている現地のみなさん、ボランティアのみなさん、プロのみなさん。みなさんの働きはすばらしい。でも、一番大切なのはあなたの命です。

■大きな被害の中で:九州北部豪雨

日本中の人たちが、たとえメディアで被害状況を見ているだけの人でも、心を痛めています。朝刊の見出しになる死者行方不明者の数が多くなるたびに、心が苦しくなります。

■がんばっている被災地のみなさん

自衛隊や行政、ボランティアさんが来るのを待っていられないと、救出作業を懸命にしていらっしゃるみなさん。家の片づけを急いでいる皆さん。テレビで見ているだけの人間は、申し訳なく感じるほどです。

ずいぶんご高齢の方も、他の皆さんと一緒に、近所の行方不明者を探して活動されている姿を拝見しました。ご自分だって大変な思いをされているのに、満足な休息だって取れていないはずなのに、汗を流して力仕事をされていました。本当に頭が下がります。たしかに、少しでも早く助けだしたいと、そう思われるのは当然です。

でも、被災地でがんばっているみなさん。どうぞ、どうぞ、ご自愛ください。

特にご高齢の方は、どうぞ休みながら、ご無理をなさらないでください。

■これ以上の被害者をださないために

東日本大震災の現場に行ったときに、地元の方からお聞きしました。「もうこれ以上、悲しい思いはしたくない。けが人も病人も出て欲しくない。救急車のサイレンを聞きたくない」。

だから、くれぐれもボランティアの人たちはケガや病気に気をつけてくださいと、担当の方からお聞きしました。

学生と一緒にボランティアで出かけたとき、野外作業の時には頻繁に休憩をとる予定を立てました。元気な学生達は、当初そんなに休憩は必要ないと言っていました。でも、慣れない野外作業です。あとになれば、この休憩予定で良かったと感じました。

ボランティアだけではありません。これまでも、地震の後で、横倒しになった墓石を直している最中に倒れて亡くなった方もいます。墓石を直すなど後でも良いと感じるのですが、でもその方にとっては、倒れたままの墓石はとてもお辛かったのでしょう。でも、それでも、後で良いと思います。

水害の後片付けも重労働です。力自慢の屈強な若者でも、夏の炎天下、水害の現場での泥の片付けは、みるみる体力を奪います。

■あなたが自覚している以上の心身の負担

人間は、ストレスと闘うようにできています。いわゆる火事場の馬鹿力です。疲れているはずなのに、がんばれます。しかしそれでも、スーパーマンになったわけではありません。

あなたは、あなたが思っている以上に、心と体が疲れているかもしれません。緊急にしなければならないことは、たしかにあるでしょう。でも、それ以外のことは、どうぞ後回しで。少し後でも良いことは、あとになって、手伝ってくれる人と一緒に行いましょう。

一人では大変でも、あとで大勢の人間で人海戦術で行えばすぐにできることもあります。一人二人で片付けていると気が滅入ることでも、あとでみんなと一緒に行えば、気持ちが晴れることもあるでしょう。

■不眠不休で、寝食を忘れて働いている方々へ・ボランティアのみなさんへ

地元の方でも、ボランティアの方でも、不眠不休で、寝食を忘れて働いている方がいらっしゃいます。すばらしい働きです。でも、三日ですむ仕事ならそれでも良いでしょう。でも、長丁場はそうはいきません。

プロは、きちんと働き続けるために、必要な休息もとります。休むこと、体調管理も、仕事の一部です。

ボランティアさんの中には、人を助けるのは得意でも、人に助けてもらうのは不得意な人もいます。

■被災地で働くプロのみなさんへ

役所職員、警察、自衛隊、医療関係者など、プロのみなさんは、訓練を受けているとはいえ、日常的に大災害を経験しているわけではありません。

プロは、弱みを出せないという弱点を持っています。いくらプロでも疲れます。

地元の人から見れば、プロのみなさんへの感謝と同時に、プロを頼ることもあるでしょう。自分の余裕を失うと、プロのみなさんを責めてしまうこともあるでしょう。

でも、プロにとって一番辛いのは、住民からの無理解です。プロにとって一番の励みになるのは、住民からの理解ある感謝の思いです。

■友人、近所、同僚だからこそできる心のケア

災害直後に必要なのは、安心安全です。その上での、心のケアです。さらに、カウンセラーや精神科医ではなく、あなたにしかできない、あなたならではの心の癒しがあります(「誰かの心の傷を癒すために:カウンセラーよりもあなたが」Y!ニュース有料)

いつも一緒にいて、これまでの人間関係があるからこその、慰めや励ましがあるでしょう。

■一番大切なこと

一番大切なことは、みなさんの命です。それ以上に大切なものはありません。疲労困憊する中では、判断力、注意力が落ちます。救助作業中の事故や、災害関連死などにもつながりかねません。睡眠不足(睡眠負債)は、私達の想像以上にパフォーマンスを下げています。

雨も暑さも続くようです。どうぞご自愛くささい。

マラソンのコーチが言っていました。「早くゴールするためには、ゆっくり走ることが必要です」。

「神も仏もない」と感じる時:災害と心のケア:九州北部豪雨

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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