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『ワルイコあつまれ』が伝えた、世界を平和にする「3つの言葉」

碓井広義メディア文化評論家
『ワルイコあつまれ』の3人(番組サイトより)

『ワルイコあつまれ』の「原爆特集」で

先日、8月6日に放送された『ワルイコあつまれ』(NHK・Eテレ)について書きました。(『ワルイコあつまれ』がトライした、異色の「原爆特集」

そのときに書き切れなかった、とても「大切な言葉」があったので、続編として記しておこうと思います。

『ワルイコあつまれ』は、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんによる「教育バラエティー番組」です。

この日は、「子ども記者会見」という場を設けて、広島で原爆を体験した竹本秀雄さんに、子ども記者たちが様々な質問をしていました。

そして記者会見の最後に、子ども記者の一人が、こう訊いたのです。

「世界が平和になるために、私たちに出来ることはありますか?」

すると、竹本さんは、

「あります。その方法は、3つの言葉なんです」

と答えました。

その説明は、以下のようなものでした。

世界が平和になるために

一つ目。「ありがとう」と言いましょう。

心に寄り添ってもらった時、さみしい時、迷った自分に手を差しのべてくれた時、相手の目を見て「ありがとう」と言いましょう。

それが本当の「ありがとう」なんです。その「ありがとう」が言える人になりましょう。

二つ目。人を褒めましょう。誰でも必ずいいところがあるんです。気がつかないなら、見る目がまだ甘いんですね。

人には、必ずいいところがあります。それをさり気なく、褒めてあげましょう。

そういう人が一人でも増えれば、戦争に発展しなくなるかもしれません。

最後は「ご苦労さま」「お疲れさま」という言葉です。ねぎらいの言葉です。

お母さんが洗濯物を干していても、「お母さん、ご苦労さま」って言えばいいんです。

言えば、相手も嬉しいし、言ったほうも幸せになるんですよ。今日からやってみて下さい。

3つの言葉

竹本さんが挙げた、3つの言葉。

「ありがとう」

「人を褒めること」

「ご苦労さま」

これは子どもたちだけでなく、年齢を問わず、誰もが使える言葉です。

多くの人が口にすることで、世の中の何かが変わっていく言葉だと思います。

もしかしたら、本当に、少しずつ、世界が平和になっていくかもしれません。

テレビを通じて、たくさんの子どもたちに「3つの言葉」を伝えてくれた稲垣さん、草彅さん、香取さん、そして『ワルイコあつまれ』に感謝です。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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