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異次元の人!? YOSHIKIさんと黒柳徹子さんの「ありがた感」

碓井広義メディア文化評論家
(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

X JAPANもそうですが、YOSHIKIさんも「異次元」という言葉が、よく似合います。

いえ、音楽家として優れた才能の持ち主というだけではありません。社会や世間とは一線を画す、もしくは俗世から離脱したかのような孤高の雰囲気。って、まさに「極めた人」じゃないですか。

缶コーヒー「ワンダ『極』」の最新CMで、YOSHIKIさんは黄金色のドラムを叩いています。ドラマーがドラムを叩いているだけなのに、秘宝を拝見する時と同様の「ありがた感」が漂うのはなぜだろう。

しかも決めゼリフは、たったひと言、「出来ました」。肩の力が抜けた、自然体の言葉が、見る側にじわっと浸透していきます。

これまた美味しいコーヒーが出来たという意味を超え、何か「素晴らしいこと」が起きたと告げられたようなインパクトがあり、思わず手を合わせたくなる。って、YOSHIKIさんは仏像か!

そういえば過日、YOSHIKIさんが新型コロナ救済基金に、約1000万円を寄付したと報じられました。俗世の困難を見過ごすことのできない、その異次元の慈愛にも感謝です。

「ワンダ『極』」CMより
「ワンダ『極』」CMより

そして、黒柳徹子さんもまた、「異次元の人」と言えるでしょう。

日本でテレビ放送が始まったのは1953年。その当時から、黒柳さんはテレビの中にいました。

黒柳さんを、初めて画面で見たのは、小学1年生だった61年です。ドラマ「若い季節」(NHK)、音楽バラエティー「夢で逢いましょう」(同)などの人気番組を掛け持ちしていました。

そして、約60年後の現在も「徹子の部屋」(テレビ朝日系)を続けている。驚異的なことです。

「ウーバーイーツ」のCMでは、黒柳さんが、小松菜奈さんと部屋の中にいる。室内に並んでいるのは、黒柳さんが我が子のように可愛がっているという、徹子カットの「盆栽」たちです。非凡な人が愛する凡才、いえ盆栽。

「あなた、お好きなの選んでいいわよ」と言われた菜奈さん。気に入ったものが見つかったのでしょう。一つの盆栽を指さします。

すると黒柳さん、すっと真顔になって、「それね、私が一番好きな子なの」。

えっ!? 好きなの選んでいいって言ったじゃん。でも、このひと言が黒柳さんらしくて笑ってしまう。思ったことはハッキリと言う。忖度なしです。白は白、黒は黒。パンダの配色と同じくらい明快だ。

いつの時代も、どんな社会でも、「自分の価値観」で生きていく。コロナ禍にも負けない強さを持つのが「黒柳徹子」であり、「異次元の人」である証左です。

そんな黒柳さんと同時代に生きる凡才である私たちは、あの仏頭、いえタマネギ頭に手を合わせればいい。きっと、ご利益があるはずです。ありがたや、ありがたや。

「ウーバーイーツ」CMより
「ウーバーイーツ」CMより
メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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