今年上半期に出版された中から、おススメの「エンタメ本」とは!?

(写真:アフロ)

出版不況といわれますが、やはり本は面白い! 今年上半期に出版された、映画、テレビなどに関する「エンタメ本」の中から、硬軟取り混ぜて、おススメのものをピックアップしてみました。気になる本があったら、本屋さんで手にとってみてください。

藤波 匠 『「北の国から」で読む日本社会』

日本経済新聞出版社 918円

1981年に始まり、約20年にわたって放送された国民的ドラマ「北の国から」。富良野で暮す登場人物たちの生活を通じて、社会の変容を解読しようとする試みでした。特に田中邦衛さんが演じた黒板五郎には、脚本を書いた倉本聰さんの思想と実践が色濃く反映されています。

大林宣彦 『大林宣彦の映画は歴史、映画はジャーナリズム。』

七つ森書館 1944円

この本には、5つの対談や座談会が収められています。「過去の記憶と現在を対話させると未来が見える」と川本三郎さんに語り、「映画は、風化しないジャーナリズムです」と常盤貴子さんに伝える大林監督。肺がんで余命3カ月と宣告された後に、壇一雄原作の新作『花筐(はながたみ)』を完成させたことに拍手です。

樋口尚文 『映画のキャッチコピー学』

洋泉社 1728円

かつて、映画の宣伝文句は「惹句(じゃっく)」と呼ばれていました。スターで押す、スケール感で煽るなど、観客を誘うアプローチは様々です。本書では洋画・邦画から厳選した傑作を解説しています。「凶暴な純愛映画」は、リュック・ベッソンの『ニキータ』。宮崎駿『もののけ姫』は、ズバリ「生きろ。」でした。

亀和田武 『黄金のテレビデイズ 2004ー2017』

いそっぷ社 1728円

2004年に始まり現在も続く、週刊誌連載の人気テレビコラムです。対象となる番組は、ドラマからバラエティまでジャンルは問いません。また時には人物にもスポットを当てていきます。何が面白いのか、どう見れば楽しめるのか。判断基準は著者である亀和田さんの興味のみ。掲載されている放送当日の番組表も貴重な資料と言えるでしょう。

芦屋小雁 『笑劇(しょうげき)の人生』

新潮新書 778円

芸能生活70年目を迎えた芦屋小雁さん。「番頭はんと丁稚どん」「てなもんや三度笠」など人気番組の裏側はもちろん、ケタ外れの映画愛と収集癖、驚きの金銭感覚、さらに3度の結婚までが語られています。読んでいると、NHK朝ドラ「わろてんか」だけでは分からなかった上方芸能の姿も見えてくるのです。

岡田秀則・浦辻宏昌:編著 『そっちやない、こっちや~映画監督・柳澤壽男の世界』

新宿書房 4104円

柳澤壽男さんは『夜明け前の子どもたち』などの作品を生み出した記録映画作家です。障害者や難病患者、その背後にある社会問題にレンズを向け続けてきました。軌跡をたどる評伝、本人のエッセイ、さらに作品の解読などで構成されている本書は、発見と再発見に満ちた労作です。

川本三郎 『映画の中にある如く』

キネマ旬報社 2700円

『キネマ旬報』で連載中の「映画を見ればわかること」をまとめた最新刊です。「クロワッサンで朝食を」のライネ・マギの美しさ。「ハンナ・アーレント」から連想する丸山眞男先生。そして、俳優の中で「誰よりも倫理的だった」高倉健さんのこと。映画の細部には神が宿っています。

中村実男 『昭和浅草映画地図』

明治大学出版会 2700円

映画を「風景の記憶装置」と捉える明大教授が、浅草の歴史と変化をたどります。たとえば川島雄三監督が『とんかつ大将』で描いた戦後復興期の裏長屋。また大林宣彦監督が『異人たちとの夏』で見せてくれた昭和末期の六区。浅草には、懐かしくて切ない物語がよく似合います。

柳下毅一郎 『興行師たちの映画史』

青土社 2592円

もしも、映画が利益だけを目的とする「見世物」だとしたら。そんな刺激的な視点で編まれた、いわば「陰の映画史」です。リュミエールとメリエスによるエキゾチズムへの誘いに始まり、奇形ホラー映画、セックス映画など、世にエクスプロイテーション(搾取)フィルムの種は尽きません。

矢部万紀子 『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

ちくま新書 864円

NHK「朝ドラ」が描く、女性の生き方や働き方をめぐるコラム集。『ゲゲゲの女房』(10年)、『カーネーション』(11年)、『あまちゃん』(13年)、そして『ひよっこ』(17年)など11作品が並びます。私たちはヒロインの何に共感し、どこに憤るのか。朝ドラは時代を鮮明に映し出しています。