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昨年のサイ・ヤング賞投手が最初の3登板で防御率11.57を記録する。受賞翌年のワースト!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレイク・スネル(サンフランシスコ・ジャイアンツ)Apr 19, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月19日、ブレイク・スネル(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、ランダール・グリチック(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)に二塁打を打たれ、4点目と5点目を取られたところで、マウンドを降りた。4.2イニングを投げ、自責点5だ。

 その前の2登板は、3イニングで自責点3と4イニングで自責点7だった。ここまでは、11.2イニングで自責点15。防御率は11.57となっている。

 昨シーズン、スネルは、5年ぶり2度目のサイ・ヤング賞を受賞した。2018年は、タンパベイ・レイズで180.2イニングを投げ、奪三振率11.01と与四球率3.19、防御率1.89。昨シーズンは、サンディエゴ・パドレスで180.0イニングを投げ、奪三振率11.70と与四球率4.95、防御率2.25を記録した。

 昨オフのFA市場に出たスネルは、3月19日にジャイアンツと2年6200万ドルの契約を交わした。契約2年目の2025年は、年俸3000万ドルの選手オプションだ。今オフに再びFAとなり、長期の大型契約を手にするというのが、スネルが描いているシナリオだろう。

 サイ・ヤング賞を受賞した翌シーズンに、最初の3登板で防御率6.00以上は、見落としがなければ、今シーズンのスネルが延べ11人目。スネルの防御率11.57は、2008年にCC・サバシアが記録した防御率11.57をわずかに上回る。サバシアは、14.0イニングで自責点18だ。

筆者作成
筆者作成

 まだ3登板に過ぎないが、スネルは、シナリオの実現に向け、いいスタートを切れなかった。もっとも、2008年のサバシアは、4登板目も4.0イニングで自責点9を記録し、この時点の防御率は13.50まで跳ね上がったものの、シーズン全体では防御率2.70としている。

 今シーズンのスネルは、入団からシーズン初登板までの期間が短かった。本領発揮は、これからかもしれない。昨シーズンは、最初の3登板が13.0イニングで防御率6.92、その後の29登板は167.0イニングで防御率1.89だった。

 ちなみに、サイ・ヤング賞の翌シーズンに100イニング以上を投げ、防御率が最も高かったのは、2017年のリック・ポーセロだ。203.1イニングで防御率4.65を記録した。

 一方、4月19日にスネルと投げ合ったジョーダン・モンゴメリーも、昨オフからの動きは、スネルと似ている。

 3シーズン続けて155イニング以上&防御率3.85未満――昨シーズンは188.2イニングで防御率3.20――を記録し、FA市場に出たモンゴメリーは、3月下旬にダイヤモンドバックスと契約を交わした。それについては、こちらで書いた。

「サイ・ヤング賞左腕に続き「最後の大物FA」もドジャースと同地区の他球団へ。1年2500万ドル」

 スネルとモンゴメリーは、どちらも長期の大型契約を得ることができなかっただけでなく、左投手、1992年12月生まれの31歳、代理人はスコット・ボラス、という点も共通する。

 ただ、ダイヤモンドバックスに入団後、モンゴメリーは、代理人をワッサーマンのジョエル・ウルフとニック・チャノックに変更した。

 モンゴメリーは、シーズン初登板となった4月19日に、6イニングを投げ、ホルヘ・ソレーアに打たれたホームランによる、1失点にとどめた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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