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ドラフト全体1位のデビューでロースターから外され、別のドラフト全体1位が離脱中の球団へ

宇根夏樹ベースボール・ライター
トニー・ケンプ Apr 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トニー・ケンプは、ミネソタ・ツインズとマイナーリーグ契約を交わしたようだ。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが報じている。

 数日前までは、ボルティモア・オリオールズにいた。ジャクソン・ホリデイの昇格に伴い、ロースターから外され、どこからも獲得の名乗りがないまま、ウェーバー公示期間を終えた後、退団とマイナーリーグ降格のうち、前者を選択した。

 現在、ツインズは、3人の野手を欠いている。三塁手のロイス・ルイスは右の太腿、遊撃手のカルロス・コレイアは右の脇腹、外野手のマックス・ケプラーは右の膝を痛め、いずれも故障者リストに入っている。

 ホリデイは、2022年のドラフト全体1位だ。

 ツインズで離脱中の3人のうち、ドイツ出身のケプラーはドラフトを経ていないが、コレイアとルイスは、こちらもドラフト全体1位。それぞれ、2012年と2017年に指名された。

 ケンプは、二塁とレフトを守ってきた。少ないものの、センターとライト、遊撃の経験も、皆無ではない。現在の年齢は32歳。パワーはなく、過去2シーズンは出塁率.310未満――今シーズンは9打数0安打――ながら、2021年は131試合で出塁率.382を記録している。

 楽観視はできないが、昇格のチャンスはありそうだ。

 なお、ケンプは、オリオールズのロースターから外された直後、Xに書き込みをした。それによると、2010年の秋、ケンプの大学で打撃コーチを務めていたジョシュ・ホリデイのところに、弟のマット・ホリデイ(当時セントルイス・カーディナルス)が息子を連れてきて、練習に参加したという。その息子は、ケンプに代わってメジャーデビューしたジャクソン・ホリデイだ。

 さらに、ケンプは、こう続けている。「ジャクソン・ホリデイの素晴らしい左打席からのスウィングを覚えている。頑張れ、キッド!」

 ケンプ自身は、2013年のドラフト5巡目・全体137位だ。バンダービルト大からヒューストン・アストロズに入団した。この年のドラフトで指名されたバンダービルト大の6人中、メジャーデビューしたのは、ケンプとあと1人。14巡目・全体429位のマイク・ヤストレムスキ(当時オリオールズ/現サンフランシスコ・ジャイアンツ)がそうだ。

 フィラデルフィア・エンクワイアラーのアレックス・コフィーによると、ケンプとヤスレムスキは、大学時代のチームメイトだけでなくルームメイトでもあり、それぞれの結婚式では互いに介添人を務めたという。

 ツインズとジャイアンツは、7月12日~14日に3試合を行う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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