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通算打率1割台の選手が200本塁打に到達する。これは史上初!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロ(ワシントン・ナショナルズ)Apr 5, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月6日、ジョーイ・ギャロ(ワシントン・ナショナルズ)は、今シーズン2本目のホームランを打ち、通算本塁打を200本とした。

 ギャロの通算打率は.197だ。わずかな違いはあるものの、ホームランを打つ直前の打率も、ホームランを打った時点の打率も、4月6日の試合が終わった時点(現時点)の打率も、小数点第4位を四捨五入した数値は変わらない。

 通算200本塁打は、ギャロが372人目。彼らを通算打率の低い順に並べると、ワースト20は以下のようになる。あとの352人は、いずれも打率.245以上。トップ3は、打率.358のロジャース・ホーンズビー(301本)、打率.344のテッド・ウィリアムズ(521本)、打率.342のベーブ・ルース(714本)だ。

筆者作成
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 このワースト20に名を連ねる選手のうち、200本目のホームランを打った時点の通算打率が.200未満も、ギャロだけだ。彼ら以外の352人については調べていないが、ギャロ以外の19人と同じく、200本塁打に達した時も打率は.200を超えていたと思われる。まず、間違いないだろう。

 ちなみに、ギャロとともにワースト20にランクインしている現役選手のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、昨年4月4日に200本目のホームランを打った。この時点の通算打率は.232だったので、そこから下降している。昨シーズンは、打率が.197、ホームランは47本。シーズン打率.200未満で40本塁打以上を記録した、史上初の選手となった。

 もっとも、ギャロの通算出塁率は.323だ。こちらは打率ほど低くなく、現時点では――これから、どの数値も変動していくが――ワースト20だけでなく、ワースト30にも入っていない。372人のなかには、出塁率.200未満の選手もいる。出塁率.287のトニー・アーマス(251本)と出塁率.299のトニー・バティスタ(221本)がそうだ。

 ギャロは、13.4打数に1本のホームランを打っている。このペースは、わずかながらシュワーバーを凌ぎ、372人中、マーク・マグワイアの10.6打数/本(583本)、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の11.7打数/本(259本)、ルースの11.8打数/本(714本)、バリー・ボンズの12.9打数/本(762本)に次ぐ。

 また、372人のなかで、通算安打の36%以上がホームランは、ギャロしかいない。526安打中200本がホームランなので、38.0%だ。この割合が30%以上は、他に3人。マグワイアが35.9%(1626安打中583本)、シュワーバーが32.2%(771安打中248本)、ジャッジは30.4%(853安打中259本)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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