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エンジェルスはこのDHを手に入れるべきなのか。昨年は33本塁打。通算本塁打は300本以上

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス Jul 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、現在も、FAのブレイク・スネルJ.D.マルティネスに興味を抱いているらしい。エンジェルスだけではないようだが、ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが、そう報じている。

 昨年まで、エンジェルスには、大谷翔平がいた。今オフ、FAとなった大谷は、ロサンゼルス・ドジャースに入団した。

 昨年、エンジェルスで先発10登板以上の5人――いずれも先発20登板以上――のなかで、防御率4.10を下回ったのは、3.14の大谷だけだ。大谷は、DHとしても出場し、44本のホームランを打って本塁打王を獲得した。エンジェルスで30本塁打以上は、他に皆無。200打席以上の12人中、出塁率.340以上を記録したのは、.412の大谷と.367のマイク・トラウトしかいなかった。

 スネルは、昨年のサイ・ヤング賞投手だ。J.D.は、33本のホームランを打った。どちらも、ブレイクしたばかりの選手ではない。スネルのサイ・ヤング賞は2度目。J.D.の通算本塁打は315本を数え、40本塁打以上のシーズンも2度ある。それぞれ、大谷に代わるエースとDHとして、適任のようにも見える。

 ただ、スネルはともかく、J.D.を加えることには疑問の余地がある。もともと、J.D.は外野手だったが、2018年からはDHをメインとしている。過去6シーズンの先発出場は、DHが610試合、レフトとライトは計136試合。過去2シーズンは、250試合中249試合がDHだ。年齢も、36歳と若くない。

 内野の左から右に、アンソニー・レンドーンザック・ネトルイス・レンヒーフォノーラン・シャヌエルが並ぶと、ブランドン・ドゥルーリーが守るポジションはなくなる。ドゥルーリーは、過去2シーズンとも25本以上のホームランを打っていて、このスパンの54本塁打はJ.D.より5本多い。ドゥルーリーは18.6打数/本、J.D.は19.7打数/本だ。

 また、トラウトとレンドーンは、過去3シーズンとも、怪我に見舞われている。2021~23年にエンジェルスが行った486試合のうち、トラウトの出場は237試合(48.8%)、レンドーンは148試合(30.5%)だ。2人とも、半数以上の試合に欠場している。

 DHを固定せず、入れ替わりに起用することで、ドゥルーリーの打席数を確保し、トラウトとレンドーンの健康維持を図ることができるのではないだろうか。

 この3人に限らず、DHのローテーションには、アーロン・ヒックスジョー・アデル、マイナーリーグ契約のミゲル・サノーらを含めてもいいだろう。

 さらに、ローガン・オホッピーではなくマット・タイスがマスクをかぶる試合は、オホッピーをDHとして起用するのも一策だ。昨年、オホッピーは、51試合で14本のホームランを打った。サンプル数は多くないものの、13.0打数/本のペースは、エンジェルスでは大谷の11.3打数/本に次ぎ、トラウトの17.1打数/本やドゥルーリーの18.7打数/本を上回った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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