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ドラフト全体1位の現在地。タイガースなど4球団に2人ずつ、エンジェルスにはモニアック

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミッキー・モニアック(ロサンゼルス・エンジェルス)Feb 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今世紀初のドラフトで全体1位指名を受けたジョー・マウアーは、2004年から2018年までミネソタ・ツインズ一筋にプレーし、今年、殿堂入りする。最初の投票で、76.1%の票を得た。

 20年前のドラフト全体1位、マット・ブッシュは、紆余曲折を経て、2016年にリリーバーとしてメジャーデビューした。昨年は、ミルウォーキー・ブルワーズで12試合に登板し、10.1イニングで11点を取られ、7月に解雇された。その後は、テキサス・レンジャーズ傘下のAAとAAAで投げ、計24登板の30.2イニングで防御率2.64。9月末にメジャーリーグへ昇格したが、登板することはなく、オフにノンテンダー(契約解除)となった。

 現在、選手としてメジャーリーグの球団に在籍しているドラフト全体1位は、13人を数える。

筆者作成
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 スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)の在籍球団は、プロ入りから変わっていない。2019年のオフにFAとなり、7年2億4500万ドル(2020~26年)の再契約を交わした。ただ、そこからは計8登板。2022年6月が最後だ。契約は折り返し地点だが、再びマウンドに上がることはないだろう。身体の状態が、それを許さない。

 ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)、ゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)、カルロス・コレイア(ツインズ)、ダンズビー・スワンソン(シカゴ・カブス)も、大型契約を手にしている。それぞれの契約は、13年3億3000万ドル(2019~31年)、9年3億2400万ドル(2020~28年)、6年2億ドル(2023~28年)、7年1億7700万ドル(2023~29年)だ。コールはエース、野手3人は不動のレギュラーとして、今年の開幕を迎える。ハーパーは一塁、コレイアとスワンソンは遊撃を定位置とする。

 ミッキー・モニアック(ロサンゼルス・エンジェルス)は、ブレイクの一歩手前といったところだ。2020~22年の計66試合で打率.157と出塁率.218、4本塁打に対し、2023年は85試合で打率.280と出塁率.307、14本塁打を記録した。ブレイクの鍵は、左投手だろう。昨年は、対右の258打席が打率.294と出塁率.322、対左の65打席は打率.222と出塁率.246。左投手からのホームランは、起用の少なさも一因だが、1本しかなかった。通算でも1本だ。

 ロイス・ルイス(ツインズ)については、「「ミスター満塁」は今年も健在!? 通算本塁打の約30%はグランドスラム。今春初のホームランも…」で書いた。ケーシー・マイズ(デトロイト・タイガース)は、2022年6月にトミー・ジョン手術を受け、今年は復帰のシーズンとなる。2021年は150.1イニングを投げ、防御率3.71を記録した。

 アドリー・ラッチマン(ボルティモア・オリオールズ)とスペンサー・トーケルソン(タイガース)は、ここまで順調に歩んでいる、と言っていいだろう。ラッチマンの四球率は、2シーズンとも13%以上。出塁率は.362と.374だ。トーケルソンは、昨年、31本のホームランを打った。後半の19本塁打は、シアトル・マリナーズの2人、フリオ・ロドリゲスカル・ローリーと並び、両リーグで9番目に多かった。

 ヘンリー・デービス(ピッツバーグ・パイレーツ)は、昨年6月のメジャーデビュー以降、外野手として起用された。マスクをかぶったのは、2イニングに過ぎなかった。だが、メジャーリーグ2年目の今年は、正捕手を務める予定だ。

 ジャクソン・ホリデイ(オリオールズ)は、新人王候補の一人。遊撃には、昨年の新人王、ガナー・ヘンダーソンがいるので、二塁手としてメジャーデビューしそうだ。ポール・スキーンズ(パイレーツ)が開幕ロースターに入る可能性は、ホリデイほど高くないものの、こちらもゼロではない。2月29日の登板では、最速102マイルを記録。3人に対して投げ、いずれも討ち取った。その1人目と2人目は、同じくドラフト全体1位のホリデイとラッチマン。3人目のヘストン・カースタッドは、2020年のドラフト全体2位だ。バッテリーを組んだのは、ドラフト全体1位のデービスだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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