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サイ・ヤング賞2度のクルーバーが引退。球団をリーグ優勝に導き、トレードで未来のセーブ王をもたらす

宇根夏樹ベースボール・ライター
コリー・クルーバー Oct 3, 2015(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月9日、コリー・クルーバーは、インスタグラムで引退を発表した。2023年は、ボストン・レッドソックスで55.0イニングを投げ、防御率7.04を記録した。4月には、38歳の誕生日を迎える。

 クルーバーは、2010年代を代表するエースの一人だった。2011年のメジャーデビューから、9シーズンにわたってクリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)で投げ、2014~18年は5シーズン連続200イニング以上。2014年と2017年はサイ・ヤング賞を受賞し、2016年と2018年は3位、2015年は9位にランクインした。

 このスパンの1091.1イニングと83勝は、マックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)の1098.2イニングと86勝に次ぐ。

 また、700イニング以上の53人中、クルーバーの奪三振率10.13は5位、与四球率1.84と防御率2.85とFIP2.84は4位に位置する。この4項目ともトップ5にランクインは、クルーバーとクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)の2人しかいない。カーショウは、奪三振率10.50が4位、与四球率1.40と防御率2.12とFIP2.34は1位。916.1イニングは17番目、76勝は5番目に多い。

 インディアンズは、2016~18年に地区3連覇を遂げ、2016年は、68年ぶりのワールドシリーズ優勝まであと1勝に迫った。クルーバーは、第7戦こそ4.0イニングで4失点ながら、第1戦と第4戦は計12.0イニングを投げて1点しか取られなかった。この年、ワールドシリーズの前のポストシーズン3登板は、計18.1イニングで2失点だった。

 クルーバーは、メジャーデビュー前を含め、トレードで2度動いている。2010年の夏にサンディエゴ・パドレスからインディアンズへ移り、2019年のオフにインディアンズからテキサス・レンジャーズへ移籍した。2度目のトレードで、インディアンズがクルーバーと交換に獲得したのは、エマニュエル・クラッセデライノ・デシールズだ。

 デシールズは、同名の父を超えることができておらず、すでにガーディアンズにはいない――昨年は、5月にシアトル・マリナーズから解雇され、その後は独立リーグでプレーした――が、クラッセは、過去2シーズンとも、両リーグ最多のセーブを挙げている。2022年が42セーブ、2023年は44セーブだ。2021年の24セーブを含めた、過去3シーズンの計110セーブも、このスパンの最多。ちなみに、2位と3位は、108セーブのケンリー・ジャンセン(現ボストン・レッドソックス)と103セーブのジョシュ・ヘイダー(現ヒューストン・アストロズ)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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