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元・読売のガルシアの2年1400万ドルは安い!? 過去3年に97本塁打。昨年はポストシーズンで8本

宇根夏樹ベースボール・ライター
アドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)Oct 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アドリス・ガルシアとテキサス・レンジャーズは、年俸調停を直前に回避した。申請額は、ガルシアは690万ドル、レンジャーズは500万ドル。ダラス・モーニング・ニューズのエバン・グラントらによると、合意に達した契約は、2024年の475万ドルと2025年の925万ドル、2年1400万ドルだ。打席数とMVP投票の順位に応じ、最高で2年2025万ドルになるという。

 昨オフまでは年俸調停の申請権がなく、2023年の年俸は74万7760ドルだった。それと比べると、大幅なアップだ。

 けれども、そう高額な契約には思えない。ガルシアは、過去3シーズンに計97本のホームランを打っている。それぞれ、31本塁打、27本塁打、39本塁打だ。2021~22年は6.5%未満の四球率も、2023年は10.3%まで上昇した。

 昨年は、ライトの守備でDRS+7を記録し、ゴールドグラブに選ばれている。また、レギュラーシーズンに続き、ポストシーズンの15試合で8本のホームランを打った。そのうちの1本は、ワールドシリーズ第1戦のサヨナラ本塁打だ。ガルシアがいなければ、初のワールドシリーズ優勝はなかったかもしれない。

 ここからの2シーズンもホームランを量産すれば、2年1400万ドルはもちろん、2年2025万ドルでも、レンジャーズにとってはディスカウント価格になり得る。

 レンジャーズ以外も含め、今世紀初のワールドシリーズ連覇に向け、ガルシアのパワーは不可欠だろう。だが、レンジャーズの長期構想に、ガルシアは入っていないような気がする。今回の契約後も、FAになるタイミングは変わっていない。あと3シーズン後、2026年のオフだ。2025年のオフは、再び年俸調停の可能性がある。

 ガルシアは、レイト・ブルーマー(遅咲き)だ。2016年は、読売ジャイアンツで4試合に出場し、7打数0安打。キューバから亡命後も、メジャーリーグでプレーした試合は少なく、2018年がセントルイス・カーディナルスで17打数2安打、2020年はレンジャーズで6打数0安打だった。ブレイクしたのは、28歳で迎えた2021年だ。来月初旬に31歳の誕生日を迎える。

 一方、今年、ガルシアと外野トリオを形成するであろう2人は、レフトのエバン・カーターが21歳、センターのレオディ・タベラスは25歳だ。さらに、レンジャーズには、22歳の外野手、ワイアット・ラングフォードがいる。ラングフォードは、昨年のドラフトで全体4位指名を受け、プロ初出場から2ヵ月の間に、ルーキーリーグ→A+→AA→AAAと昇格している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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