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エンジェルスを含む4球団が興味!? 62試合で2本塁打のアーシェラが人気を博している理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジオ・アーシェラ Apr 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスからFAになっているジオ・アーシェラに対し、数球団が興味を抱いているらしい。MLBネットワークのジョン・モロシは、ニューヨーク・ヤンキースとニューヨーク・メッツ、マイアミ・マーリンズを挙げている。MLB.comのブライアン・ホックは、この3球団にエンジェルスを加え、現時点ではエンジェルスとマーリンズが好条件の契約を申し出ている、と報じている。

 アーシェラは、三塁をメインに、内野4ポジションを守る。2024年のシーズン年齢(6月30日時点)は32歳だ。

 現時点における、それぞれの内野カルテットを反時計回りに並べると、ヤンキースは、一塁がアンソニー・リゾー、二塁がグレイバー・トーレス、遊撃がアンソニー・ボルピー、三塁はDJ・ラメイヒュー。メッツは、ピート・アロンゾジェフ・マクニールフランシスコ・リンドーアブレット・ベイティ、マーリンズは、ジョシュ・ベルルイス・アライズジョン・バーティジェイク・バーガー。エンジェルスは、ノーラン・シャヌエルブランドン・ドゥルーリールイス・レンヒーフォザック・ネトアンソニー・レンドーンとなりそうだ。

 必ずしも、内野に空きがあるわけではない。ただ、ヤンキースは、ラメイヒューが35歳だ。もう一方のコーナーを守るリゾーも、34歳と若くはない。メッツは、2019年のドラフト全体12位であるベイティが、まだブレイクしていない。メジャーリーグ2年目、実質的には1年目の2023年は、108試合で打率.212と出塁率.275、9本塁打だった。マーリンズは、バーガーをDHとして起用したいのかもしれない。昨年は、シカゴ・ホワイトソックスとマーリンズで計34本のホームランを打ったものの、守備は得意ではない。エンジェルスは、今さら言うまでもなく、レンドーンの健康状態に大きな不安がある。

 FA市場に残っている三塁手には、マット・チャップマンがいるが、そこまでの大物ではなく、バックアップあるいは準レギュラーとしてアーシェラ、というのが、この4球団の共通した思惑のように見える。当然ながら、アーシェラであれば、契約を交わすのにチャップマンほどの大金は必要としない。三塁以外の内野も守り、そこには遊撃も含まれているので、汎用性も高い。

 アーシェラは、昨年、エンジェルスで62試合に出場し、打率.299と出塁率.329、2本塁打を記録した。6月半ばに骨盤を骨折し、そのまま復帰することはできなかった。このスタッツからすると、バックアップにしても少し物足りない気がするものの、ヤンキース時代は、2019年に132試合で打率.314と出塁率.355、21本塁打、2020年も43試合で打率.298と出塁率.368、6本塁打を記録している。

 2023年の年俸は、840万ドルだった。年俸調停の結果、アーシェラの1000万ドルではなく、エンジェルスの840万ドルが通った。需要の高さが報道のとおりだとすると、今オフは、年平均1000万ドル前後の1~2年契約を手にすることができるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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