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昨年全休の選手が得た2年3400万ドルの契約はオプト・アウトつき。シナリオは復活→FA→大型契約か

宇根夏樹ベースボール・ライター
リース・ホスキンス Mar 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 リース・ホスキンスは、今年、ミルウォーキー・ブルワーズでプレーするらしい。ESPNのジェフ・パッサンらが、オプト・アウト可能な2年3400万ドルの契約で合意、と報じている。

 ホスキンスは、パワーのある打者だ。メジャーリーグ1年目の2017年は、8月のデビューから50試合で18本塁打。その後の5シーズン中、27本塁打を下回ったのは、短縮シーズンの2020年(10本)しかない。2018年は34本塁打を記録し、2022年は30本のホームランを打った。

 ただ、昨年は、開幕直前のエキシビション・ゲームで左膝の前十字靭帯を損傷。全休のままシーズンを終え、フィラデルフィア・フィリーズからFAになった。

 現在の年齢は30歳。3月に誕生日を迎える。怪我に見舞われることなく、昨年もパワーを発揮していれば、一塁の守備はうまくないとはいえ、今オフのFA市場で人気を博していただろう。通算の打率は.246ながら、出塁率は.353だ。

 ホスキンス(と代理人のスコット・ボラス)が描いているシナリオは、2024年に復活を遂げ、シーズン終了後に契約を打ち切って再びFAになり、長期の大型契約を得る、という流れだと思われる。年平均額は2000万ドル以上、年数は4~5年といったところだろうか。そうなると、ブルワーズの予算には収まらないと思われる。

 2024年が不調なら、オプト・アウトせずに2025年もブルワーズでプレーする、「プランB」に切り替えることもできる。

 ただ、「プランB」の場合、年齢が上がる分、大きな契約を手にするのは難しくなる。また、「プランA」を実行しても、望んでいるような契約を得られるかどうかはわからない。このままいくと、来オフのFA市場には、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)、クリスチャン・ウォーカー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、ポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)といった一塁手が揃う。なかでも、アロンゾは、ホスキンスより若く、パワーも勝る。

 ポジションを問わなければ、外野手のホアン・ソト(ニューヨーク・ヤンキース)や三塁手のアレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)も、来オフにFAとなる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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