昨オフ、千賀滉大は、ニューヨーク・メッツと５年7500万ドル（2023～27年）の契約を交わした。メジャーリーグ１年目の2023年は、先発29登板で166.1イニングを投げ、ナ・リーグで規定投球回に達した20人中、４位の奪三振率10.93（とワースト４位の与四球率4.17）と２位の防御率2.98を記録。新人王の投票では、満場一致で受賞のコービン・キャロル（アリゾナ・ダイヤモンドバックス）に次ぐ、２位に位置した。

　今オフ、山本由伸は、12年３億2500万ドル（2024～35年）の契約で、ロサンゼルス・ドジャースに入団した。千賀の年平均額――契約総額÷年数――は1500万ドル、山本は2708万3333ドルだ。

　山本が新人王を受賞すれば――日本プロ野球で投げていた千賀や山本が新人王にふさわしいかどうかはさておき――ドジャースでは19人目となる。現時点でも、ドジャースは、どこよりも多くの新人王を輩出している。２番目に多いのは、ニューヨーク・ヤンキースとアトランタ・ブレーブスの各９人だ。

　これまでの18人中、最初の４人、ジャッキー・ロビンソン、ドン・ニューカム、ジョー・ブラック、ジム・ギリアムは、ドジャースの前に、ニグロリーグでプレーしている。15人目の野茂英雄は、近鉄バファローズで５シーズンを過ごし、その１年目の1990年に、パ・リーグの新人王とMVP（最優秀選手）に選ばれた。山本は、オリックス・バファローズで７シーズン。新人王は受賞していないが、2021年から３シーズン続けてMVPに選出されている。

　また、ドジャースの新人王のうち、投手は６人。ニューカム、ブラック、リック・サトクリフ、スティーブ・ハウ、フェルナンド・バレンズエラ、野茂がそうだ。

　1981年のバレンズエラは、新人王だけでなく、サイ・ヤング賞も受賞した。同じ年に新人王＆サイ・ヤング賞は、ドジャース以外を含めても、バレンズエラしかいない。ちなみに、この年のナ・リーグのサイ・ヤング賞投票は、１位がバレンズエラ、２位がトム・シーバー、３位がスティーブ・カールトン、４位がノーラン・ライアン、５位はブルース・スーター。バレンズエラを除く４人は、いずれも殿堂入りしている。

　1995年の野茂は、サイ・ヤング賞の投票で、グレッグ・マダックス、ピート・シュレック、トム・グラビンに次いだ。５位は、野茂とチームメイトのラモン・マルティネスだ。マダックスとグラビンも、殿堂に迎えられた。野茂は、翌年も４位にランクインした。

　ニューカムとサトクリフは、新人王とは別の年に、サイ・ヤング賞を受賞している。それぞれ、1956年と1984年だ。1956年のニューカムは、サイ・ヤング賞とMVPを手にした。1984年のサトクリフは、ア・リーグのクリーブランド・インディアンズとナ・リーグのシカゴ・カブスで投げ、94.1イニングで防御率5.15と150.1イニングで防御率2.69。ナ・リーグのサイ・ヤング賞に選ばれた。

　なお、これまでに新人王を受賞した日本人選手は、1995年の野茂、2000年の佐々木主浩、2001年のイチロー、2018年の大谷翔平（当時ロサンゼルス・エンジェルス／現ドジャース）の４人だ。当時、佐々木とイチローはシアトル・マリナーズにいたので、ナ・リーグで新人王の日本人選手は野茂だけ、ということになる。

　2001年のイチローは、新人王とMVPに選ばれた。こちらのダブル受賞は、1975年のフレッド・リンに続く２人目。その後、３人目は現れていない。

　新人王投票２位の日本人選手は、千賀が３人目だ。2003年と2004年のア・リーグ新人王と２位は、それぞれ、アンヘル・ベローアと松井秀喜、ボビー・クロズビーと高津臣吾だった。2003年の松井は、僅差で受賞を逃した。ベローアの88ポイント（１位票12）に対し、松井は84ポイント（１位票10）を得た。