山本由伸を手に入れたドジャースはFAになっているクレイトン・カーショウとは再契約を交わさない!?
来シーズン、ロサンゼルス・ドジャースのローテーションには、タイラー・グラスナウと山本由伸が加わる。
ドジャースは、2対2のトレードにより、タンパベイ・レイズからグラスナウと外野手のマニュエル・マーゴを獲得した。続いて、山本の入手にも成功。正式な発表は出ていないものの、ESPNのジェフ・パッサンやニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらが、契約の合意を報じている。まず、間違いはないだろう。
一方、これまでドジャース一筋に投げてきたクレイトン・カーショウは、FA市場に出ている。先月初旬、カーショウは、肩の手術を受けたことをインスタグラムで明かし、「来夏のどこかの時点で復帰してプレーすることを望んでいる」と綴った。
ドジャースがカーショウを呼び戻す必要は、ないようにも見える。来シーズンのローテーションは、4枠が埋まっている。グラスナウと山本に、ウォーカー・ビューラーとボビー・ミラーだ。あとの1枠は、エメット・シーハンが有力。他に、マイケル・グローブ、ギャビン・ストーン、ライアン・ヤーブローらもいるので、6人のローテーションとすることもできる。また、来シーズン、トニー・ゴンソリンは全休の見込みだが、ダスティン・メイは、順調にいけば、夏に復帰する。
ただ、カーショウと再契約を交わす可能性は、なくなってはいない気がする。
ドジャースのローテーションに並ぶ4人は、それぞれ、不安材料が皆無というわけではない。
グラスナウは、怪我が多く、120イニングを超えたシーズンは一度もない。8シーズンのなかで、2023年の120.0イニングが最も多い。山本は、来シーズンがメジャーリーグ1年目だ。アジャストしなければならないのは、中6日から中4日あるいは中5日となる登板間隔だけではない。
ビューラーは、昨年の夏に2度目のトミー・ジョン手術を受け、今シーズンは、9月初旬にAAAで2イニングのみ。2021年は207.2イニングで防御率2.47ながら、それを再現できるかどうかは、わからない。ミラーは、今年5月にメジャーデビューし、124.1イニングで防御率3.76を記録した。もしかすると、2年目のジンクスに嵌まるかもしれない。
今年の夏、ドジャースは、シカゴ・ホワイトソックスからランス・リン(現セントルイス・カーディナルス)を獲得したのに続き、デトロイト・タイガースからエデュアルド・ロドリゲス(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)を手に入れようとしたが、うまくいかなかった。タイガースとは合意に達したものの、ロドリゲスにトレード拒否権を行使された。
カーショウを呼び戻せば、来夏の補強を「先取り」する形になる。
カーショウは、過去2度のオフもFAになり、2度とも、1年契約でドジャースへ戻った。そして、2022年は126.1イニングで防御率2.28、2023年は131.2イニングで防御率2.46。来年3月には36歳となるが、英語の記事でよく見かける表現を使うと、タンクに燃料は残っているはずだ。ちなみに、ドジャースに移籍したリンは、そこからの64.0イニングで防御率4.36を記録した。
もっとも、カーショウがドジャースで再び投げるとは限らない。12月13日、カーショウは、ラジオ番組のAM570LAスポーツで、どの球団と契約を交わすのか決めておらず、妻のエレンと話し合っている、と語った。選択肢としては、ドジャースかテキサス・レンジャーズだろう。カーショウとエレンは、レンジャーズの本拠地の近くで生まれ育ち――2人は高校時代に交際を始めた――現在もそこに住んでいる。
夏までは投げられないので、決断を急ぐ必要はない。来シーズンが始まってもFAのままだった場合、家族とともに過ごす時間は、それだけ長くなる。家族から離れがたくなり、気持ちがレンジャーズに傾くことも考えられる。
レンジャーズのローテーションは、今のところ、ネイサン・イオバルディ、ジョン・グレイ、アンドルー・ヒーニー、デイン・ダニングの4人に、最後の1枠は開花前の若手、コディ・ブラッドフォードかオーウェン・ホワイトだろう。マックス・シャーザーとジェイコブ・デグローム、今月加入のタイラー・マーリーがマウンドに上がるのは、6月以降だと思われる。
カーショウがレンジャーズに加われば、シャーザーとデグロームとともに、いずれもサイ・ヤング賞2度以上、合わせて受賞8度のトリオとなる。