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レッドソックスの外野手がトレードでヤンキースへ移る。これは104年前のベーブ・ルースと同じ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレックス・バーデューゴ Sep 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月5日、ニューヨーク・ヤンキースは、3人の右投手と交換に、ボストン・レッドソックスからアレックス・バーデューゴを獲得した。

 今から104年前、ヤンキースは、10万ドルと引き換えに、レッドソックスからベーブ・ルースを手に入れた。1919年12月26日のことだ。両球団は、翌年の1月5日に、このトレードを発表した。

 バーデューゴとルースは、2人とも左打者だ。レッドソックスで通算40本塁打以上50本塁打未満を記録したことも、共通する。バーデューゴは、2020~23年に43本のホームランを打った。ルースは、1914~19年に49本だ。長打の本数も、175本と161本なので、そう大きく違わない。

 また、バーデューゴは、レッドソックスで主に外野の両コーナーを守っていた。レッドソックス時代のルースは、マウンドに上がって投げることも多かったが、1919年の登板は20試合未満にとどまり、外野手としての出場は100試合を超えた。

 つけ加えると、レッドソックスのシーズン勝率は、2023年が.481、1919年は.482だ。細かく言えば、.4817…と.4814…なので、その差はないに等しい。

 もっとも、ヤンキースの場合、2023年も1919年も、ポストシーズンへ進めなかったのは同じだが、それぞれのシーズン勝率は.506と.576だ。

 また、バーデューゴは、パワー・ヒッターではない。ルースは、移籍前の2シーズンも移籍後の2シーズンも、本塁打王を獲得した。1918~19年が11本塁打と29本塁打、1920~21年は54本塁打と59本塁打だ。バーデューゴは、2017~19年のロサンゼルス・ドジャース時代を含めても、シーズン本塁打は13本(2021年、2023年)が最も多い。

 バーデューゴがレッドソックスで記録した124二塁打は、このスパン(2020~23年)の5位に位置する。ただ、ホームで68本とアウェーで56本だ。レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークは、二塁打が出やすい。

 ヤンキースが思い描いている、来シーズンの外野トリオは、左から右へ、ホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)、アーロン・ジャッジ、バーデューゴ、あるいは、バーデューゴ、コディ・ベリンジャー(前シカゴ・カブス/現FA)、ジャッジではないだろうか。

 いずれにせよ、バーデューゴは、つなぎだと思われる。2025年からは、ジェイソン・ドミンゲスがセンターを守るはずだ。本来なら、来シーズンからそうなる予定だったが、ドミンゲスは、9月下旬に、インターナル・ブレーシング(人口人工靱帯の使用)を含むトミー・ジョン手術を受けた。

 バーデューゴは、来シーズンが終わると、FAになる。ヤンキースでプレーするのは、1シーズンだけかもしれない。

 ドミンゲスについては、こちらで書いた。

「右肘靱帯の手術を受けた野手は、いつ復帰できるのか。手術は大谷翔平の翌日」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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