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今世紀初のワールドシリーズ連覇に向け、まずは37歳のリリーフ投手を手に入れる。大型補強は不要!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
カービー・イェーツ Oct 9, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 テキサス・レンジャーズは、ブルペンにカービー・イェーツを加えたようだ。ダラス・モーニング・ニューズのエバン・グラントによると、1年450万ドル程度の契約で合意に達したという。

 イェーツは、アトランタ・ブレーブスに年俸575万ドルの球団オプションを破棄された。レンジャーズとの契約が1年450万ドルなら、オプションの解約金125万ドルと合わせて575万ドルとなる。

 今シーズンは、61登板で60.1イニングを投げ、奪三振率11.93と与四球率5.52、防御率3.28を記録した。

 その前の3シーズン、2020~22年が計15登板にとどまったのは、肘を痛めたせいだ。2021年の開幕前に、トミー・ジョン手術を受けた。2018~19年は、どちらも、60イニング以上を投げ、奪三振率12.85以上と与四球率2.45未満、防御率2.15未満を記録している。2019年の41セーブは両リーグで最も多く、セーブ失敗は3度しかなかった。

 スタットキャストによると、今シーズン、4シームの平均球速は93.6マイル。2019年は93.5マイルだった。来年3月に37歳の誕生日を迎えるが、まだ、4シームとスプリッターのコンビネーションで打者を抑えられそうだ。制球さえ元に戻れば、2018~19年のような好投も、あり得なくはない。

 レンジャーズのブルペンからは、ウィル・スミスに加え、今シーズンの途中に加入したアロルディス・チャップマンクリス・ストラットンもFAになっている。イェーツは、ジョシュ・スポーレスとともに、クローザーのホゼ・ルクラークにつなぐセットアッパーとして投げることになるだろう。

 他にも、ジョーダン・モンゴメリーミッチ・ガーバーら、FA市場に出た選手はいる。モンゴメリーは、夏にセントルイス・カーディナルスから移籍後、先発11登板で防御率2.79。ガーバーは、DHと捕手として、87試合で出塁率.370と19本塁打を記録した。

 だが、過去2度のオフのような、大型補強は行わないと思われる。初のワールドシリーズ優勝に続き、1998~2000年のニューヨーク・ヤンキースを最後に途絶える連覇に向け、メンバーは揃っている。

 ローテーションには、ネイサン・イオバルディマックス・シャーザージョン・グレイデイン・ダニングアンドルー・ヒーニーの5人が並び、6月にトミー・ジョン手術を受けたジェイコブ・デグロームも、うまくいけば、後半には復帰する。DHは確定していないものの、コリー・シーガーマーカス・シミエンアドリス・ガルシアらを擁する打線は、かなり強力だ。

 これまでにレンジャーズが行ってきた補強については、ワールドシリーズ進出を決めた直後に、こちらで書いた。

「12年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた26人はどうやって集められたのか。ラスト・ピースとなったのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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