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年俸1300万ドルの選手オプションを行使して残留の左腕は、WS連覇をめざすローテーションに入れるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・ヒーニー(テキサス・レンジャーズ)Oct 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月4日、テキサス・レンジャーズは、アンドルー・ヒーニーが選手オプションを行使したことと、ホゼ・ルクラークの球団オプションを行使したことを発表した。それぞれのオプション(来シーズンの年俸)は、ヒーニーが1300万ドル、ルクラークは625万ドルだ。

 今シーズン、ヒーニーは、先発28登板とリリーフ6登板で計147.1イニングを投げ、奪三振9.22と与四球率3.67、防御率4.15を記録した。開幕から9月上旬までは、ローテーションの一員として、先発27登板で防御率4.22。そこから、ブルペンに回って6試合に投げ、レギュラーシーズンの最終登板は、再び先発マウンドに上がった。ポストシーズンの5登板は、先発、先発、リリーフ、リリーフ、先発。計11.0イニングの防御率は、レギュラーシーズンとほぼ変わらない、4.09だった。

 ワールドシリーズ初優勝を飾ったレンジャーズは、連覇をめざして来シーズンに臨む。ローテーションの3枠は、ネイサン・イオバルディマックス・シャーザージョン・グレイで決まりだろう。

 ヒーニーがローテーションに入れるかどうかは、確定していない。ジョーダン・モンゴメリーマーティン・ペレスはFAになったが、6月にトミー・ジョン手術を受けたジェイコブ・デグロームが復帰すれば、4枠目も埋まる。5人のローテーションなら、ヒーニーは、デイン・ダニングコディ・ブラッドフォードと最後の1枠を争うことになる。

 デグロームが出遅れたとしても、今オフ、レンジャーズが新たな先発投手を加える可能性もある。ペレスはさておき、モンゴメリーと再契約を交わそうとしても不思議ではない。

 とはいえ、ヒーニーが開幕ローテーションに入る可能性は低くない。ダニングとブラッドフォードと比べると、ヒーニーの奪三振率は彼らを凌ぐ。ポストシーズンで5登板は、3人とも同じだが、ヒーニーと違い、ダニングとブラッドフォードはどの試合もリリーバーとして投げた。

 今シーズン、ダニングは、先発26登板とリリーフ9登板の計172.2イニングで奪三振率7.30と与四球率2.87、防御率3.70。ブラッドフォードは、先発8登板とリリーフ12登板の計56.0イニングで奪三振率8.20と与四球率1.93、防御率5.30。その他に、AAAの先発14登板で74.1イニングを投げ、奪三振率7.87と与四球率1.94、防御率3.63を記録した。

 来シーズンの年齢(6月30日時点)は、ヒーニーが33歳、ダニングが29歳、ブラッドフォードは26歳だ。

 レンジャーズよりもローテーション入りの可能性が高い球団はあるが、ヒーニーは、勝てるチームを選んだようにも見える。レンジャーズとしても、先発とリリーフのどちらでも起用できるヒーニーの残留は、望むところだろう。

 一方、レンジャーズがルクラークを引き留めたのは、当然だ。2021年3月のトミー・ジョン手術を経て、昨シーズンは39登板の47.2イニングで奪三振10.20と与四球率3.97、防御率2.83、今シーズンは57登板の57.0イニングで奪三振率10.58と与四球率4.42、防御率2.68。セーブとホールドは、2シーズン合わせて11と12ながら、今年のポストシーズンでは、クローザーとして13試合に登板した。来シーズンの年齢は30歳だ。

 レンジャーズのブルペンからは、アロルディス・チャップマンウィル・スミスクリス・ストラットンらがFAになっている。こちらは、ルクラークとジョシュ・スポーレスとともに、リードした試合の終盤に投げる投手が、あと1人は必要だと思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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