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近藤健介が「打率2位&二冠王」なら、昨年のアーロン・ジャッジと同じ。日本プロ野球では誰がそう!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
近藤健介 MARCH 10, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 今シーズン、近藤健介(福岡ソフトバンク・ホークス)は、打率.303、26本塁打、87打点を記録した。レギュラーシーズンは、千葉ロッテ・マリーンズと東北楽天ゴールデンイーグルスの1試合を残すのみ。現時点の近藤の順位は、打率が2位、ホームランが1位タイ、打点は1位だ。

 近藤の打率2位――首位打者は打率.307の頓宮裕真(オリックス・バファローズ)――は、間違いない。千葉ロッテと東北楽天の2チームの選手のうち、最も打率が高いのは、.276の浅村栄斗(東北楽天)だ。浅村がここから19打数19安打を記録しても、近藤の打率には届かない。

 打点王も、ほぼ確定だろう。現時点のトップ4は、87打点の近藤、85打点の柳田悠岐(福岡ソフトバンク)、78打点の浅村、75打点のグレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ)だ。浅村あるいはポランコが近藤を上回るには、それぞれ、10打点と13打点が必要になる。

 1試合10打点以上は、これまでに6人しかいない。飯島滋弥(1951年10月5日)が11打点、トニー・ソレイタ(1980年4月20日)、レオン・リー(1985年8月10日)、ロバート・ローズ(1999年7月22日)、江藤智(1999年8月12日)、二岡智宏(2006年4月30日)が10打点を挙げた。

 ホームランは、近藤、ポランコ、浅村の3人がトップに並んでいる。近藤は、シーズン最後の打席でホームランを打ち、2人に追いついた。千葉ロッテあるいは東北楽天の選手のうち、15本塁打以上は、ポランコと浅村しかいない。この2人が最後の試合でホームランを打たなかった場合、近藤は、彼らと本塁打王を分け合う。

 そうなれば、近藤の「打率2位&二冠王」は、日本プロ野球とメジャーリーグの違いはあるものの、昨シーズンのアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と同じだ。昨シーズン、ジャッジは、62本塁打と131打点で二冠王となり、ルイス・アライズ(当時ミネソタ・ツインズ/現マイアミ・マーリンズ)の打率.316に次ぐ、ア・リーグ2位の打率.311を記録した。ちなみに、アライズは、今シーズンのナ・リーグの首位打者でもある。打率は.354だ。

 日本プロ野球の「打率2位&二冠王」は、延べ12人を数える。1リーグ時代は、1936年秋の古谷倉之助と1949年の藤村富美男。セ・リーグは、1950年の小鶴誠、1958年の長嶋茂雄、1964年と1965年の王貞治、2002年の松井秀喜、2003年のアレックス・ラミレス。パ・リーグは、1950年の別当薫、1953年と1956年の中西太、1970年の大杉勝男がそうだ。

 この10人のうち、古谷と別当と大杉は、キャリアを通して首位打者がなかったが、あとの7人は、違うシーズンに首位打者を獲得している。

 近藤は、最多二塁打(2020年/31本、2021年/37本)、最多四球(2019年/103)、最高出塁率(2019年/.422、2020年/.465)などはあるものの、打撃三冠のタイトルは、今シーズンが初となる。また、今シーズンは、75得点、33二塁打、109四球、出塁率.431、長打率.528、ISO.226、OPS.959も、リーグ・トップ――二塁打は万波中正(北海道日本ハム・ファイターズ)とタイ――に位置している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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