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200勝に到達した投手のラスト・ゲームは「代打出場」。356本塁打の一塁手は「退場」が最後になる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)Oct 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)は、9月18日に200勝目を挙げた。その後は登板せず、200勝ちょうどのまま引退するが、最後の出場はその試合ではない。9月29日と10月1日の試合に、どちらも代打として出場した。

 打席に立つのは2年ぶり。結果は、二塁ゴロと空振り三振だった。通算の打率と出塁率は.192(744打数143安打)と.220、ホームランは10本だ。二塁打は、40本まであと1本に迫っていた。三振は、ちょうど250となった。

 投手としても、打者としても、ポストシーズンの出場はない。今シーズン、カーディナルスは16年ぶりに負け越し、33年ぶりの地区最下位に終わった。

 昨シーズンのカーディナルスでは、アルバート・プーホルスヤディアー・モリーナが、どちらも投手としてデビューし、そのオフにユニフォームを脱いだ。シーズン終盤の登板ではなかったが、2人とも、ラスト・シーズンとなることが決まっていた。

 ウェインライトの代打出場2試合は、モリーナに揃えたわけではないだろうが、ウェインライトとバッテリーを組んできたモリーナは、2試合で投げた。

 一方、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)は、ウェインライトが三振を喫した10月1日の試合に「3番・一塁」として出場した。

 まだ不透明ながら、ウェインライトと同じく、ボトーもこの試合が最後の出場になるかもしれない。10年2億2500万ドルの契約は、今シーズンまでだ。来シーズンは2000万ドルの球団オプションだが、レッズは700万ドルの解約金を支払い、オプションを破棄するだろう。

 ウェインライトの2歳下とはいえ、ボトーは、先月10日に40歳の誕生日を迎えた。昨シーズンも今シーズンも、出場は100試合に届かず、出塁率は.320未満だった。その前の15シーズンとも、ボトーの出塁率は.350を下回ったことがなかった。通算出塁率は.409だ。また、今シーズン、レッズはあと一歩のところでポストシーズン進出を逃したものの、若手が次々と台頭している。

 ただ、ウェインライトが最後の打席でヒットを打っていたとしても、ボトーと一塁で会話を交わすことはなかった。1回表、ファウル・チップの三振に終わったボトーは、2回表が始まる前にダグアウトから球審に向かって何かを叫び、退場を宣告された。三振を喫した球ではなく、それまでの判定に対する不満だったようだ。

 ウェインライトが200勝のすべてをカーディナルスの投手として挙げたように、ボトーは356本塁打のいずれも、レッズのユニフォームを着て打っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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