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福岡ソフトバンクの柳田悠岐と近藤健介は三冠王になり得るが、過去には3部門とも2位か3位の選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
近藤健介 MARCH 11, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 今シーズン、近藤健介(福岡ソフトバンク・ホークス)は、打率、本塁打、打点のいずれも、リーグ・トップ3にランクインしている(9月12日時点)。打率.300と21本塁打は3位、76打点は最も多い。

 打率1位は.309の柳田悠岐(福岡ソフトバック)、本塁打1位は23本の浅村栄斗(東北楽天ゴールデンイーグルス)とグレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ・マリーンズ)だ。近藤との差は大きくなく、こちらでも近藤がトップに立ち、三冠王となってもおかしくない。

 近藤のみならず、打率トップの柳田にも、三冠王のチャンスはある。打点は近藤と1しか違わず、本塁打は4位タイながら、トップの2人との差は3本だ。

 その一方で、近藤も柳田も、無冠に終わることもあり得る。いずれも僅差なので、どの選手がタイトルを獲得するのかは、まだわからない。

 今世紀に入ってから、無冠でありながら3部門ともトップ3にランクインした選手――打率、本塁打、打点のすべてが2位か3位――は、見落としがなければ、延べ6人いる。

 セ・リーグでは、2002年のロベルト・ペタジーニ、2005年の金本知憲、2009年の小笠原道大がそう。ペタジーニは、打率.322が3位、41本塁打と94打点が2位。首位打者、本塁打王、打点王との差は、21ポイント、9本、13打点だ(.001=1ポイントとして表記)。金本も、各部門の順位はペタジーニと同じ。打率.327が3位(17ポイント差)、40本塁打と125打点は2位(3本差と22打点差)だ。小笠原は、打率.309が3位(13ポイント差)、31本塁打が3位タイ(8本差)、107打点は3位(3打点差)だった。

 パ・リーグも3人だが、こちらは、延べ3人だ。2005年のフリオ・ズレータは、打率.319、43本塁打、99打点のいずれも2位。3ポイント、3本、22打点の差でタイトルを逃した。

 あとの2人は、2017年と2020年の柳田だ。2017年は、打率.310が2位(12ポイント差)、31本塁打が3位タイ(4本差)、99打点は2位タイ(4打点差)。2020年は、打率.342が2位(8ポイント差)、29本塁打と86打点は3位(3本差と22打点差)に位置した。

 なお、柳田は、2015年と2018年に首位打者(.363と.352)を獲得している。この2シーズンのうち、2015年は、3部門ともトップ3だった。34本塁打が1位と3本差の3位タイ、99打点は1位と25打点差の3位だ。

 近藤は、首位打者、本塁打王、打点王のどれも、獲得したことがない。打率の順位は、2015年(.326)、2018年(.323)、2020年(.340)の3位が最も高い。2015年と2018年だけでなく、2020年の打率ランキングでも、近藤の上には柳田がいた。この年のトップ3は、打率.350の吉田正尚(当時オリックス・バファローズ/現ボストン・レッドソックス)、柳田、近藤だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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