Yahoo!ニュース

エンジェルスがFA直前の5人をウェーバーにかけて「売り」に出す。大谷翔平が含まれていない理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・レンフロー(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、今秋のポストシーズン進出を完全にあきらめたようだ。ESPNのジェフ・パッサンによると、先発投手のルーカス・ジオリト、リリーフ投手のマット・ムーアレイナルド・ロペス、外野手のハンター・レンフローランダール・グリチックをウェーバーにかけたという。

 5人とも、今オフにFAとなる。レンフローとグリチックは、現在行われている8月29日の試合に出場し、それぞれ、ライトとレフトを守っている。

 エンジェルスの目的は、年俸総額の削減と「贅沢税」の回避だ。定められた年俸総額の上限を超えた球団は、超過した金額に対し、通称「ラグジュアリー・タックス(贅沢税)」を課される。このままいくと、エンジェルスは課税の対象になる。

 ウェーバー公示中の選手を獲得した球団は、現在の契約をそのまま引き継ぎ、残りの年俸を支払う。そうなれば、エンジェルスは「贅沢税」を免れる可能性も出てくる。

 8月中に移籍すれば、彼らは、ポストシーズン出場も可能だ。

 一方、今オフにFAとなるのは、チームメイトの大谷翔平も同じだが、シーズンが終わるまで、エンジェルスは大谷を保有するはずだ。そして、FAになった直後にクオリファイング・オファーを申し出て、大谷に断られる。大谷が他球団と契約を交わした場合、クオリファイング・オファーを提示していたエンジェルスは、来年のドラフト指名権を得る。

 クオリファイング・オファーの金額は、年俸上位125人の平均だ。昨オフは、1965万ドルだった。今オフも、そう変わらないだろう。この金額は――クオリファイング・オファーを受け入れて残留することもあるので――レンフローらに申し出るには高すぎる。ちなみに、大谷の今シーズンの年俸は、3000万ドルだ。

 なお、こちらは、ニューズデイのエリック・ボーランドによると、ニューヨーク・ヤンキースは、外野手のハリソン・ベイダーをウェーバーにかけたという。

【追記:8/30】

 パッサンは、さらに、エンジェルスがウェーバーにかけたのは5人だけでなく、リリーフ投手のドミニク・リーオンもそうだと報じている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事