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彼らが迫る「20併殺打トリオ」はどれくらい珍しいのか。過去には、三冠王を含むトリオもあった

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレハンドロ・カーク(トロント・ブルージェイズ)Jul 22, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、併殺打(GDP)を15本以上打っている――打たされている――選手は、24本のカルロス・コレイア(ミネソタ・ツインズ)を筆頭に、21人を数える。そのうちの3人は、トロント・ブルージェイズでプレーしている。ブラディミール・ゲレーロJr.が18本、アレハンドロ・カークジョージ・スプリンガーは17本ずつ。15併殺打以上の選手を3人以上擁するチームは、ブルージェイズだけだ。

 今世紀の「20併殺打トリオ」は、以下のとおり。ブルージェイズの3人は、7組目となるかもしれない。

筆者作成
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 ゲレーロJr.、カーク、スプリンガーは、3人ともOPS.780未満ながら、今世紀の「20併殺打トリオ」の6組には、いずれもOPS.830以上の選手が1人はいる。

 2011年のセントルイス・カーディナルスの3人は、全員がOPS.810以上。アルバート・プーホルスが.906、マット・ホリデイが.912、ヤディアー・モリーナは.814を記録した。2012年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)は、三冠王だ。OPS.999も、リーグで最も高かった。

 また、ほとんどの選手は右打者だが、2007年のボルティモア・オリオールズで22併殺打のニック・マーケイキスと2017年のカンザスシティ・ロイヤルズで20併殺打のエリック・ホズマーは、左打者だ。2人とも、20併殺打以上のシーズンは、他にはない。

 スタットキャストによると、今シーズンのブルージェイズの3人は、打席から一塁までの平均タイムが、ゲレーロJr.は4.64秒、カークは4.97秒、スプリンガーは4.42秒だ。今シーズン、300打席以上の右打者で平均タイムが最も短いマイルズ・ストロウ(クリーブランド・ガーディアンズ)は、4.12秒を記録している。

 このデータは2015年以降しかなく、今世紀の「20併殺打トリオ」のうち、2017年のロイヤルズしか、数値はわからない。こちらは、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)が4.74秒、ホズマーが4.30秒、ロレンゾ・ケインは4.25秒だ。時間がかかる選手=併殺打が多い選手、とは限らない。

 なお、「20併殺打トリオ」を超えるグループを探したところ、1950年のタイガースには20併殺打以上の選手が4人いた。ジョージ・ケルが23本、ジェリー・プリディが22本、ジョニー・グロースが21本、ジョニー・リッポンが20本だ。彼らが1チームの最多人数なのかどうかと、そうだとすると最多タイも存在するのかについては調べていないが、見落としがなければ、最後の「20併殺打カルテット」ということになる。

 今世紀の「20併殺打トリオ」の半数、直近の3組は、惜しくも(?)カルテットにならなかった。2012年のタイガースでは、プリンス・フィルダーが19併殺打。2011年のカーディナルスと2017年のロイヤルズでは、それぞれ、デビッド・フリーズマイク・ムスタカス(現ロサンゼルス・エンジェルス)が20併殺打まで2本に迫った。この3人のうち、プリンスとムスタカスは左打者だ。ムスタカスの併殺打があと2本多ければ、右打者と左打者が2人ずつの「20併殺打カルテット」が誕生していた。

 今シーズンのブルージェイズで、併殺打が4番目に多いのは、12本のボー・ビシェットだ。昨シーズン、ビシェットは21本の併殺打を記録した。父のダンテ・ビシェットは、20併殺打以上のシーズンが2度。1998年が22本、2000年は21本だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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