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ホームランは24本ながら、92打点はリーグ最多。「30本塁打未満の打点王」となるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)Aug 16, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月16日、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)は、ア・リーグの打点トップに立った。1打席目のホームランで1打点を挙げたのに続き、5打席目のシングル・ヒットで2者を生還させ、シーズン打点を92とした。

 前日の時点で、タッカーは、1位のアドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)と2打点差の2位にいた。ガルシアは、91打点のまま。ここ2試合とも、打点を挙げていない。

 彼らに次ぐ3位には、85打点の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が位置している。3人のうち、ガルシアと大谷は30本以上のホームランを打っているが、タッカーのホームランは25本に満たない。それぞれの打点とホームランにその順位は、92打点と24本塁打のタッカーが1位と6位、91打点と30本塁打のガルシアが2位と3位、85打点と42本塁打の大谷は3位と1位だ。

 アストロズは、122試合を終えている。タッカーのホームランは、162試合に換算すると、31~32本となる。オールスター・ブレイク後、タッカーは、アストロズの31試合すべてに出場し、打率.322と出塁率.410、11本塁打と36打点を記録している。

 けれども、すでに30本塁打以上のガルシアと大谷と違い、タッカーは、30本塁打に届かない可能性もある(もちろん、打点王も当確ではない)。ちなみに、過去2シーズンとも、タッカーのホームランは30本ちょうどだった。

 30本塁打未満の打点王は、それほど少なくない。見落としがなければ、1920年以降の打点王、延べ219人のうち、23.7%の52人がそうだ。1920年にベーブ・ルースが54本のホームランを打つまで、1シーズンに30本塁打以上の選手はいなかった。

 もっとも、タッカーが生まれた1997年以降、30本塁打未満の打点王は3人しかいない。2014年のナ・リーグで27本塁打と116打点のエイドリアン・ゴンザレス、2020年のナ・リーグで18本塁打と56打点のマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)、2020年のア・リーグで19本塁打と60打点のホゼ・アブレイユ(当時シカゴ・ホワイトソックス/現アストロズ)だ。

 2020年のレギュラーシーズンは、新型コロナウイルスのパンデミックにより、1チーム60試合に短縮された。アブレイユの19本塁打は、ルーク・ボイトの22本塁打に次ぎ、両リーグで2番目に多かった。18本塁打のオズーナは、本塁打王も獲得した。

 1970年以降における、30本塁打未満の打点王は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 なお、今シーズン、タッカーは、24本塁打とともに24盗塁も記録している。あと6ずつ増やすと――リーグ最多の打点でレギュラーシーズンを終えても、30本塁打未満の打点王にはならないが――30-30を達成する。過去2シーズンは、2021年が14盗塁、2022年は25盗塁。昨シーズンの30本塁打&25盗塁は、他のどの選手よりも30-30に近かった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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