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「1試合3本塁打」は珍しくない!? ここ3年に30人以上。その一方で縁遠いスラッガーも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)Jul 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月21日、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)は、1回表と5回表に続き、7回表にもホームランを打った。

 今シーズンの1試合3本塁打は、タッカーが6人目だ。彼の前には、4月1日にトレイス・トンプソン(ロサンゼルス・ドジャース)、4月22日にアドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)、5月7日にポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)、5月9日にジョーダン・ディアズ(オークランド・アスレティックス)、6月8日にホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)が記録している。

 むしろ、今シーズンは、近年では少ないほうかもしれない。過去8シーズン(2015~22年)のいずれも、1試合3本塁打以上の人数は、延べ二桁に達している。短縮シーズンの2020年も、10人だった。

 2021年と2022年は14人ずつなので、ここ3シーズンの合計人数は、現時点で34人となる。延べではなく、このスパンに1試合3本塁打を2度記録している、ジェシー・ウィンカー(当時シンシナティ・レッズ/現ミルウォーキー・ブルワーズ)とブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)をそれぞれ1人と数えても、2021年以降の人数は30人を超える。

 ちなみに、1試合4本塁打は、2017年9月4日のJ.D.マルティネス(当時アリゾナ・ダイヤモンドバックス/現ドジャース)が最後だ。1試合に5本以上のホームランを打った選手は、ナ・リーグにもア・リーグにも、まだいない。

 タッカーは、過去2シーズンとも、ホームランを30本ずつ打っている。今シーズンは、7月21日の3本塁打が、15本目、16本目、17本目だ。ここ3シーズンの計77本塁打は、このスパンの20位に位置する。

 もっとも、ここ3シーズンのホームランがタッカーよりも多い19人のうち、キャリアを通して1試合3本塁打以上が皆無という選手は、10人を数える。そこには、ここ3シーズンのトップ3、計120本塁打のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)、計115本塁打の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、計105本塁打のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)も含む。彼らの通算本塁打と1試合2本塁打の回数は、ジャッジが239本と31度、大谷が162本と15度、オルソンは208本と18度だ。

 過去には、500本以上のホームランを打ちながら、1試合3本塁打以上がなかった選手もいた。569本塁打のラファエル・パルメイロ、541本塁打のデビッド・オティーズ、509本塁打のゲリー・シェフィールドがそうだ。

 300本塁打以上の現役選手11人のなかでは、391本塁打のジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)、368本塁打のマイク・トラウト(エンジェルス)、311本塁打のフレディ・フリーマン(ドジャース)が、1試合3本塁打以上を記録していない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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