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藤浪晋太郎の前に、夏のトレードで移籍した日本人選手たち。藤浪とは「逆方向」に動いた選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダルビッシュ有 NOV. 1, 2017(写真:代表撮影/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月19日、ボルティモア・オリオールズは、メジャーデビュー前の左投手と交換に、オークランド・アスレティックスから藤浪晋太郎を獲得した。

 藤浪の前に、夏のトレードで移籍した日本人選手は、7人を数える。2001年の大家友和(ボストン・レッドソックス→モントリオール・エクスポズ)、2007年の井口資仁(シカゴ・ホワイトソックス→フィラデルフィア・フィリーズ)、2011年の福留孝介(シカゴ・カブス→クリーブランド・インディアンズ)と上原浩治(オリオールズ→テキサス・レンジャーズ)、2012年のイチロー(シアトル・マリナーズ→ニューヨーク・ヤンキース)、2017年のダルビッシュ有(レンジャーズ→ロサンゼルス・ドジャース/現サンディエゴ・パドレス)と青木宣親(ヒューストン・アストロズ→トロント・ブルージェイズ/現・東京ヤクルト・スワローズ)がそうだ。

 なお、この記事では、デッドラインまでの1ヵ月に成立したトレードを、夏のトレードとしている。

 大家と青木は、藤浪とは逆方向に、買い手から売り手へ動いた。2人とも、その時点でポストシーズン進出圏内にいたチームから地区最下位のチームへ移った。大家は、レッドソックスがクローザーのウーゲット・ウービナを手に入れる見返りとして、もう1人の投手とともにエクスポズへ。青木は、テオスカー・ヘルナンデスとセットで、フランシスコ・リリアーノと交換された。移籍前のリリアーノは先発投手として投げていたが、移籍後はブルペンに回った。青木の場合、ブルージェイズが欲しかったのは、テオスカーだったと思われる。トレードから1ヵ月経たずに、青木はDFAとされ、9月以降はニューヨーク・メッツでプレーした。

 ウービナを獲得したレッドソックスは、2001年のポストシーズンへ進めなかった。2017年にワールドチャンピオンとなったアストロズは、後に、ホーム・ゲームで相手バッテリーのサインを盗んでいたことが発覚した。

 トレードの翌年から、大家は2年続けて190イニング以上を投げ、2002年はリーグ7位の防御率3.18を記録した。青木がメジャーリーグでプレーしたのは、2017年が最後だ。オフに東京ヤクルトへ戻った。

 また、2011年の夏に移籍した福留は、その年のポストシーズンに出場していない。福留を獲得する数日前に、デトロイト・タイガースに抜かれてア・リーグ中地区の2位となったインディアンズは、再び首位に立つことなく、借金2でシーズンを終えた。福留の出塁率は、移籍前が.374、移籍後は.300だった。

 トレード前とトレード後で、井口の出塁率は.340→.361、上原の防御率は1.72→4.00、イチローの出塁率は.288→.340、ダルビッシュの防御率は4.01→3.44と推移した。ダルビッシュは、ディビジョン・シリーズ第3戦とリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第3戦に登板し、どちらも5イニング以上を投げて1失点――ともに被本塁打が1本――にとどめて白星を挙げたが、ワールドシリーズの2登板は、アウェーでもホームでもアストロズを抑えられず、いずれも2回途中に降板した。

 彼らと交換に移籍した選手については、こちらで書いた。

「7月のトレードで、日本人選手の交換要員となった若手たちの「その後」。上原浩治の交換相手は本塁打王に」

 藤浪のトレードについては、こちらで書いた。

「トレードで移籍した藤浪晋太郎は、どんな役割を期待されているのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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