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通算342本塁打&出塁率.412のフランチャイズ・プレーヤーが復帰。不在の間に若手が台頭し…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)Jul 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月19日、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)は、「6番・一塁」としてスターティング・ラインナップに名を連ねた。

 メジャーリーグでプレーするのは、昨年8月16日以来だ。左腕と左肩の手術を受け、以降は欠場。今シーズンの復帰も遅れた。AAAのリハビリ出場は、4月前半の10試合と今月の12試合。その間には、1ヵ月半の中断が挟まっている。

 ボトーは、レッズのフランチャイズ・プレーヤーだ。2002年のドラフトで2巡目・全体44位指名を受け、2007年9月にメジャーデビュー。一度も移籍することなく、一塁を守り続けてきた。

 342本塁打と453二塁打は球団2位、2093安打は球団5位、1338四球(と1578三振)は球団1位に位置する。出塁率.412は、レッズで1000打席以上の221人中、ジョー・モーガンの.415に次ぐ(ボトーは8504打席、モーガンはレッズで4973打席)。

 2010年は、MVPに選出された。今世紀に入ってから、MVPを受賞したレッズの選手は、ボトーしかいない。1978年以降にスパンを広げても、バリー・ラーキン(1995年)とボトーの2人だけだ。

 ただ、現在の年齢は39歳。昨シーズンは、91試合で11本塁打、出塁率.319に終わった。シーズン出塁率が.350を下回ったのは、初めてだ。10年2億2500万ドルの契約は、今シーズンまで。来シーズンは、球団オプションとなっている。

 また、レッズでは、ルーキーのスペンサー・スティーアーエリー・デラクルーズをはじめ、若手が台頭している。昨シーズンは100敗を喫し、今シーズンも一時は借金8を背負っていたが、6月10日から8連勝。貯金はまだ2ながら、ナ・リーグ中地区の2位にいて、首位のミルウォーキー・ブルワーズとは0.5ゲームしか離れていない。

 ボトーの復帰に伴い、スティーアーは一塁を離れ、三塁やレフトを守ることになりそうだが――6月19日は「5番・レフト」――ずっとそうなるとは限らない。昨シーズンのような出塁率の場合、ボトーはラインナップから外されることが増えるだろう。ここまで、スティーアーは出塁率.361を記録し、10本のホームランを打っている。

 一方、ボトーが復活すれば、勢いのある若いチームに実績のあるベテランが加わり、レッズはさらに加速するかもしれない。

 これまで、ボトーは、ポストシーズンに4度出場している。2010年、2012年、2013年、2020年がそうだ。ただ、いずれの年も、レッズは最初のステージで敗退している。

【追記:6/20】

 ボトーは、今シーズンの2打席目に、通算343本目のホームランを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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