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デグロームがトミー・ジョン手術へ。5年1億8500万ドルの1年目は6登板。それでもチームは地区首位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイコブ・デグローム(テキサス・レンジャーズ)May 26, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジェイコブ・デグローム(テキサス・レンジャーズ)の今シーズンは、早くも終わったようだ。ダラス・モーニング・ニューズのエバン・グラントによると、トミー・ジョン手術を受けるという。今シーズン6登板目の4月28日に、デグロームは腕の張りを訴え、4イニング目の途中に降板。その後は、投げていなかった。

 デグロームは、現在最高の投手の一人だ。防御率3.55以上のシーズンは一度もなく、過去5シーズン(2018~22年)のうち、防御率が2.45を超えたのは、3.08の昨シーズンだけ。奪三振率は高く、与四球率は低い。2018~19年は、続けてサイ・ヤング賞を受賞している。今シーズンの防御率は2.67だ。

 昨オフ、ニューヨーク・メッツからFAになったデグロームは、レンジャーズと5年1億8500万ドルの契約を交わした。年平均3700万ドルは、史上4番目の高額だ。

 ただ、過去2シーズン(2021~22年)は、規定投球回どころか、100イニングにも達していない(2020年は68.0イニングだが、規定投球回以上)。契約1年目のトミー・ジョン手術は想定外にしても、レンジャーズも、契約期間のすべてを故障せずに過ごすとは思っていなかったはずだ。

 ちなみに、デグロームのトミー・ジョン手術は、今回が2度目となる。1度目は、プロ1年目を終えた直後。2010年のオフに手術を受けた。

 デグロームが不在でも、レンジャーズのローテーションは、今のところ、不安を感じさせない。先発10登板以上の4人中、ネイサン・イオバルディジョン・グレイは防御率2.55未満、マーティン・ペレスアンドルー・ヒーニーは防御率4.00前後だ。リリーバーとして開幕を迎えたデイン・ダニングも、5月からデグロームに代わってローテーションに加わり、先発5登板で防御率2.28を記録している。

 彼らのうち、イオバルディとヒーニーは、デグロームと同じく、昨オフに入団した。それぞれの契約は、2年3400万ドルと2年2500万ドルだ。ペレスは、レンジャーズからFAとなった直後に、1年1965万ドルのクオリファイング・オファーを受け入れた。

 グレイは、今シーズンが4年5600万ドルの契約2年目。ダニングは、2020年のオフにレンジャーズがランス・リンをシカゴ・ホワイトソックスへ放出したトレードで、その見返りとして、マイナーリーガーの投手とともに移ってきた。

 レンジャーズは、打線も好調だ。ESPNスタッツ&インフォによると、開幕から60試合以内で二桁得点が16試合は、1936年のニューヨーク・ヤンキースと1999年のシアトル・マリナーズに並び、ここ100年の最多だという。

 現時点のローテーションと打線を見る限り、夏のトレードでブルペンに補強を施せば、このまま地区優勝を飾ってもおかしくない気がする。6月5日を終え、ヒューストン・アストロズとの差は3.5ゲーム。地区3位のロサンゼルス・エンジェルスには、9ゲーム差をつけている。

 2015~16年の地区連覇を最後に、レンジャーズは6シーズン続けて負け越し、ポストシーズンから遠ざかっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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