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千賀滉大の「デビュー10登板で70奪三振」は日本人投手とメッツ史上のどちらでも3番目の多さ

宇根夏樹ベースボール・ライター
千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)May 30, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月30日、メジャーリーグ10試合目のマウンドに上がった千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)は、自己最長の7イニングを投げ、得点を与えなかった。メッツは、2対0でフィラデルフィア・フィリーズを下した。

 無失点は、6登板目の5月5日にも記録している。この時は、6イニングを投げた。9奪三振は、8登板目の5月17日に奪った12三振に次ぐ。

 与四球ゼロは初めてだ。与死球は、その前の9登板もない。被安打は1本だけ。3回表に、コーディ・クレメンスの緩い打球が、レフトの前に落ちた。次の回に、ニック・カステヤノスが弾き返した球は、ホームランあるいは長打になりそうだったが、センターのブランドン・ニモが好捕した。

 この登板を含め、千賀は、10登板で55.0イニングを投げ、5勝3敗、防御率3.44を記録している。奪三振は70、与四球は31。奪三振率と与四球率は11.45と5.07だ。

 4月の5登板が防御率4.15だったのに対し、5月の5登板は防御率2.79。奪三振率は少し上がり、与四球率は下がっている。

 ESPNスタッツ&インフォによると、キャリア最初の10登板で70奪三振は、日本で生まれた投手では3番目の多さ。1995年に83奪三振の野茂英雄と2014年に79奪三振の田中将大(当時ニューヨーク・ヤンキース/現・東北楽天ゴールデンイーグルス)に次ぐ。

 最初の10登板で60奪三振以上は、他に4人いる。2012年にダルビッシュ有(当時テキサス・レンジャーズ/現サンディエゴ・パドレス)が66奪三振、2007年に松坂大輔が64奪三振、2002年に石井一久が63奪三振、2018年に大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)も63奪三振だ。

 野茂、田中、千賀を含めた7人のなかで、デビュー10登板の防御率は、2.29の田中が最も低い。田中は、70.2イニングも最多だ。奪三振率は、千賀が最も高く、わずかながら11.43の野茂を上回る。

 また、千賀のデビュー10登板で70奪三振は、MLB.comのサラ・ラングスによると、メッツ史上、1984年に80奪三振のドワイト・グッデンと1966~68年に74奪三振のノーラン・ライアンに次ぎ、2012年のマット・ハービーに並ぶという。

 こちらでも、千賀の奪三振は3番目の多さ、ということになる。

 なお、ライアンの最初の10登板は、1966年の2登板と1968年のシーズン8登板目までだ。1967年は腕の故障に見舞われ、メジャーリーグでの登板はなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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