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フランス対フランスの結果は、引き分けではなくタイの勝ち!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.P.フランス(ヒューストン・アストロズ)May 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月6日、「フランス対フランス」がT-モバイル・パークで実現した。J.P.フランス(ヒューストン・アストロズ)がタイ・フランス(シアトル・マリナーズ)に対して投げた。

 ベースボール・リファレンスによると、ラストネームがフランス(France)のメジャーリーガーは、この2人の他には、1890年に1登板のオシー・フランスしかいないという。J.P.は、この日がメジャーリーグ初登板だった。

 ちなみに、タイは、タイ(Thailand)ではなく、タイラー(Tyler)を略したものだ。J.P.も、日本(Japan)とパナマ(Panama)やジャマイカ(Jamaica)とプエルトリコ(Puerto Rico)のイニシャルではない。ジョナサン・パトリックだ。

 タイとJ.P.は、どちらも28歳。それぞれ、1994年7月13日と1995年4月4日に生まれた。ドラフト指名は、2015年の34巡目・全体1017位と2018年の14巡目・全体432位。タイは、2019年にメジャーデビューした。

 最初の2打席は、タイがシングル・ヒットを打った。3打席目は、左に上がったファウル・フライを、レフトのヨーダン・アルバレスが客席に手を伸ばして捕った。3打数2安打なので、史上初のフランス対フランスは、引き分けのタイ(Tie)ではなく、タイ(Ty)の勝ちと言っていいだろう。

 もっとも、J.P.は、5イニングを投げ、マリナーズに得点を許さなかった。1回裏は、タイにヒットを打たれたのに続き、与死球と与四球で1死満塁としたものの、そこから2人を三振に仕留めた。被安打は、フランス対フランスの2本と二塁打1本の計3本しかなかった。アストロズは、5対7でマリナーズに敗れたが、J.P.が降板した時点では、3対0とリードしていた。

 J.P.には、次の登板機会もあるはずだ。現在、アストロズは、3人の先発投手を欠いている。ランス・マッカラーズJr.の復帰は6月、ホゼ・ウッキーディは7月になりそうだ。ルイス・ガルシアは、トミー・ジョン手術を受ける。

 なお、この試合には、タイのチームメイト、J.P.クロフォード――こちらはジョン・ポール――も出場した。J.P.対J.P.の結果は、2打席とも一塁ゴロだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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