Yahoo!ニュース

エンジェルスが手に入れた3人の「気になる共通点」。先発投手と二塁手にリリーフ投手のムーアも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ムーア Sep 11, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、ブルペンにマット・ムーアを加えた。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールによると、契約は1年755万ドル。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、1年750万ドルと報じている。

 今オフ、エンジェルスが年平均600万ドル以上の契約で迎え入れた選手は、ムーアが4人目だ。その前の3人は、先発投手のタイラー・アンダーソンと3年3900万ドル(年平均1300万ドル)、リリーフ投手のカルロス・エステベスと2年1350万ドル(年平均675万ドル)、内野手のブランドン・ドゥルーリーと2年1700万ドル(年平均850万ドル)の契約を交わした。ドゥルーリーは、二塁手としてプレーすると思われる。

 彼らのうち、エステベス以外の3人には、共通点がある。いずれも、2022年はブレイク・イヤーだった。

 アンダーソンは、ロサンゼルス・ドジャースで178.2イニングを投げ、ナ・リーグ5位の防御率2.57と9位のFIP3.31を記録した。通算7シーズン中、防御率3.50未満は初。2017~21年は、5シーズンとも4.30を超えていた。防御率だけでなく、FIPも同様だ。

 ドゥルーリーは、シンシナティ・レッズとサンディエゴ・パドレスでプレーし、28本塁打とOPS.813を記録した。その前の7シーズンは、20本塁打以上が一度もなく、OPS.790以上も皆無だった。

 ムーアは、テキサス・レンジャーズで63試合に登板し、74.0イニングで防御率1.95を記録した。先発投手としては、2012~13年に防御率3.81と3.29を記録しているが、フルタイムのリリーフ投手として投げたのは、昨年が初めてだ。ちなみに、2018年と2021年は、先発とリリーフの両方を務めた。2018年の救援27登板と2021年の救援11登板は、どちらの防御率も5.30を超えた。

 昨年、彼らは資質を開花させたのかもしれない。なかでも、ムーアは、かつてトップ・プロスペクトと目されていた。2012年の開幕前のプロスペクト・ランキングで、ベースボール・アメリカは全体2位、ベースボール・プロスペクタスは全体1位にムーアを挙げている。

 けれども、昨年の好成績は、一過性ということもあり得る。ムーアの場合、制球難は依然として解消されていない。与四球率4.62は、救援50イニング以上の144人中、15番目に高かった。また、昨年はツキに恵まれていた可能性もある。BABIP.257は、37番目に低かった。

 今年のシーズン年齢(6月30日時点の年齢)は、アンダーソンが33歳、ドゥルーリーが30歳、ムーアは34歳だ。3人とも、蓋を開けてみないことには、どちらの目が出るのかわからない。FA市場から迎え入れた数人のうち、1人か2人ならともかく、ポストシーズン進出をめざしている球団の補強としては、不安を拭えない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事