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オリックス入団のマーウィン・ゴンザレスは「ゴミ缶」がなくても打てるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーウィン・ゴンザレス Nov 3, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月15日、オリックス・バファローズは、マーウィン・ゴンザレスの入団を発表した。

 ゴンザレスは、2012年から2022年までメジャーリーグでプレーし、内外野を守ってきた。2021年と2022年は1度ずつマウンドに上がっていて――対戦した計4人とも討ち取っている――9ポジションのうち、経験していないのは捕手だけだ。センターを守ったのは3.0イニングに過ぎないが、2471.2イニングの遊撃を筆頭に、一塁、レフト、三塁、二塁の守備イニングはいずれも1100イニングを超え、ライトでも500.0イニングを記録している。33歳の昨年も、センターと捕手以外の守備についた。

 また、スイッチ・ヒッターのゴンザレスは、107本のホームランを打っている。左打者として78本、右打者として29本だ。もっとも、11シーズンで107本塁打、33.0打数/本のペースなので、大砲というほどではない。20本塁打以上のシーズンは1度きり。ヒューストン・アストロズ時代の2017年に、23本塁打を記録した。

 ホームランに限らず、ゴンザレスの打撃スタッツは、2017年が突出している。このシーズンを除くと、打率.280以上、出塁率.330以上、OPS.760以上、30二塁打以上のいずれも皆無だ。2017年は、34本の二塁打を記録した。

 また、この年のポストシーズンは、打率.180と出塁率.275ながら、ワールドシリーズ第2戦の9回表には、クローザーのケンリー・ジャンセン(当時ロサンゼルス・ドジャース/現ボストン・レッドソックス)から、同点に追いつくホームランを打っている。球団初のワールドシリーズ優勝を決めた第7戦は、2回表にダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)から二塁打。その後、ジョージ・スプリンガー(現トロント・ブルージェイズ)のホームランにより、ゴンザレスは4点目のホームを踏んだ。5点目を取られたダルビッシュは、1.2イニングで降板した。

筆者作成
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 2017年のゴンザレスは、たまたま好調だったという見方もできるかもしれない。ただ、この年のアストロズは、相手バッテリーのサインを盗み、ダグアウトでゴミ缶を叩き、打者に知らせていた。

 なお、今からちょうど3年前、ミネソタ・ツインズの選手としてスプリング・トレーニングの施設にやってきたゴンザレスは、記者たちの前で、2017年のサイン盗みについて、後悔していると語った。この発言は、当時のアストロズでプレーしていた野手のなかでは、誰よりも早い公式の謝罪となった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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