Yahoo!ニュース

首位打者の翌年、打率は下がるのか。上がった選手もいるのか。昨年の首位打者は松本剛と村上宗隆

宇根夏樹ベースボール・ライター
小笠原道大 MARCH 19, 2009(写真:ロイター/アフロ)

 昨年、松本剛(北海道日本ハム・ファイターズ)は打率.347を記録し、首位打者を獲得した。村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)は、打率.318、56本塁打、134打点のいずれもリーグ1位。三冠王となった。

 今世紀の首位打者は、松本と村上が、延べ43人目と44人目だ。彼らの前に首位打者を獲得した42人中36人は、翌年も規定打席に到達している。ちなみに、日本プロ野球からメジャーリーグへ移った、2011年の西岡剛(当時ミネソタ・ツインズ/現・福岡北九州フェニックス)と2022年の鈴木誠也(シカゴ・カブス)は、2人とも規定打席未満。240打席の西岡は規定打席の半数に届かず、446打席の鈴木は56打席足りなかった。

 36人のうち、首位打者を獲得した年よりも翌年の打率が高かった選手は、4人しかいない。もっとも、リーグ最高の打率を記録した翌年なので、少ないのは当然だろう。2002~03年に.340→.360の小笠原道大を除くと、あとの3人のアップは、いずれも1ポイントだ(.001を1ポイントとして表記)。2001~02年の松井秀喜が.333→.334、2007~08年の青木宣親(東京ヤクルト・スワローズ)が.346→.347、2017~18年の秋山翔吾(当時・埼玉西武ライオンズ/現・広島東洋カープ)は.322→.323と推移した。

筆者作成
筆者作成

筆者作成
筆者作成

 ただ、彼らを含め、首位打者の翌年も打率.300以上を記録した選手は、25人を数える。その一方で、首位打者の翌年に打率.270未満は、4人にとどまる。2006~07年の松中信彦が.324→.266、2014~15年の糸井嘉男が.331→.262、2016~17年の角中勝也が.339→.269、2019→20年の森友哉(埼玉西武)は.329→.251だ。このなかで、角中は首位打者の翌々年も.265ながら、あとの3人の打率は再び浮上している。松中は.324→.266→.290、糸井は.331→.262→.306、森は.329→.251→.309だ。

 また、36人中27人は、首位打者の翌年も、リーグ・トップ10にランクインしている。首位打者の翌年にリーグ・ワースト10は3人。2007年の松中がワースト8位、2015年の糸井と2020年の森はワースト10位だ。

 なお、松本が今年も首位打者を獲得すると、パ・リーグでは今世紀3人目の2年連続となる。1人目と2人目は、2002~03年の小笠原と2020~21年の吉田正尚(当時・オリックス・バファローズ/現ボストン・レッドソックス)だ。村上が2年連続の首位打者なら、今世紀のセ・リーグでは初。セ・リーグで続けて首位打者を獲得したのは、1997~98年の鈴木尚典が最後だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事