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岡田彰布のようにブランクを経て再就任の監督は、阪神を優勝に導いているのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
阪神甲子園球場 AUGUST 29, 2021(写真:アフロ)

 来シーズン、岡田彰布は、阪神タイガースの監督を務める。岡田が阪神で采配を振るのは、2004~08年に続き、今回が2度目だ。その間の2010~12年に、オリックス・バファローズで指揮を執っているので、阪神の監督は15年ぶりだが、監督は11年ぶりということになる。

 ブランクを経て、再び阪神の監督に就任したのは、岡田が延べ10人目だ。吉田義男の再就任は2度。1975~77年に続き、1985~87年と1997~98年に采配を振った。

筆者作成
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 1947年の若林忠志と1985年の吉田は、2度目の就任1年目を優勝で飾っている。1947年の若林は、采配を振っただけでなく、投手として331.2イニングを投げ、26勝12敗、防御率2.09を記録し、3年ぶり2度目の最高殊勲選手――現在の最優秀選手(MVP)――に選ばれた。1985年の阪神では、三冠王のランディ・バースとともに、掛布雅之、岡田、真弓明信が「30本塁打カルテット」を形成した。球団唯一の日本シリーズ優勝も、この年だ。

 一方、1978年の後藤次男と1988年の村山実は、再就任の1年目を最下位で終えた。1988年の阪神は、岡田の23本塁打が最も多く、他に20本以上の選手はいなかった。再就任1年目に優勝の吉田も、再々就任の1年目となる1997年は5位に沈んだ。

 なお、2度目あるいは3度目の就任1年目――シーズンの途中から再び指揮を執った1955年の藤村富美男と1966年の藤本定義は、それぞれ、1956年と1967年を1年目と看做した――の勝率が前年よりも低かったのは、2人。1973年の金田正泰と1978年の後藤がそうだ。

 ちなみに、岡田の監督成績は、588勝523敗39分(勝率.529)だ。球団ごとに分けると、阪神で393勝307敗18分(勝率.561)、オリックスで195勝216敗21分(勝率.474)となる。各シーズンの順位は、2004~08年の阪神が、4位、1位、2位、3位、2位、2010~12年のオリックスは、5位、4位、6位だ。2005年を最後に、阪神は優勝から遠ざかっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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