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1億ドル以上の契約が2度の選手たち。この遊撃手は昨オフが1億530万ドル、今オフは3億5000万ドル

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・アルトゥーベ(左)とカルロス・コレイア Aug 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフのFA市場に出た「遊撃手ビッグ4」の一人、カルロス・コレイアは、13年3億5000万ドルでサンフランシスコ・ジャイアンツに迎えられた。昨オフも、コレイアは、総額1億ドル以上の契約を手にしている。ヒューストン・アストロズからFAになり、ミネソタ・ツインズと3年1億530万ドルの契約を交わした。そして、今オフは、契約についていたオプト・アウトの権利を行使した。残りの2年7020万ドルを破棄し、再びFA市場に出た。

 1億ドル以上の契約を2度交わした選手は、コレイアが史上13人目だ。今オフは、コレイアの前に、ジェイコブ・デグロームザンダー・ボガーツも、1億ドル以上の契約を途中で打ち切り、新たな1億ドル以上の契約を得ている。デグロームは、5年1億8500万ドルでテキサス・レンジャーズに入団。こちらも「遊撃手ビッグ4」の一人だったボガーツは、サンディエゴ・パドレスと11年2億8000万ドルの契約を交わした。それぞれが打ち切った契約の残りは、1年3050万ドルと3年6000万ドルだ。

筆者作成
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 その前の10人中5人も、オプト・アウトの権利を利用して、2度目となる1億ドル以上の契約を手にした。ここには、実際に行使はしなかったものの、オプト・アウトの権利を持っていて、それを交渉材料にして延長契約を得た(と思われる)、CC・サバシアジャスティン・アップトンを含めている。

 他の5人のうち、2度とも延長契約のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)とマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、最初の契約期間中に新たな延長契約を交わした。

 最初の契約が満了した後、FA市場に出て再び1億ドル以上の契約を手にしたのは、アルバート・プーホルスマックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)、フレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)の3人だ。プーホルスの場合、セントルイス・カーディナルスに1600万ドルの球団オプションを行使され、2011年のオフにFAとなった。

 コレイアがこれまでの12人と違うのは、2オフ続けて1億ドル以上の契約を手にしている点だ。1度目が3年契約と短かったことからも窺えるように、今オフにオプト・アウトの権利を行使したのは、コレイアのシナリオどおりだが、1億ドル以上の契約を交わし、最初の1年が終わったところで打ち切った選手は、過去にはいなかった。

 なお、コレイアのような連続ではないが、シャーザーは、1億ドル以上の契約を3度交わした史上初の選手になるかもしれない。来オフ、シャーザーは、オプト・アウトの権利を持っている。4度目のサイ・ヤング賞を受賞するような投球をすれば、現在の契約を打ち切ってFA市場に出るか、その前にメッツと延長契約を交わす可能性は高まる。

 今シーズン、ジャスティン・バーランダーは、39歳にして3度目のサイ・ヤング賞に選ばれ、メッツと2年8666万6666ドル――年平均4333万3333ドルはシャーザーと並ぶ史上最高額――の契約を交わした。シャーザーは、来年7月に39歳となる。次も3年契約なら、その総額も現在の契約と同じく、1億ドルを超えそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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