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彼が手腕を振るえば、あの球団も強くなるのか。リーグ優勝はフィリーズが4球団目

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニック・カステヤノス(左)とデーブ・ドンブロウスキ Mar 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスも、デーブ・ドンブロウスキを球団に迎え入れるべきかもしれない。

 ドンブロウスキが、GMあるいはその上に位置する編成責任者を務めるのは、現在のフィラデルフィア・フィリーズが5球団目だ。その前の4球団は、モントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)、フロリダ・マーリンズ(現マイアミ・マーリンズ)、デトロイト・タイガース、ボストン・レッドソックス。最初のエクスポズ以外は、いずれも、ドンブロウスキがいた時期にリーグ優勝を飾っている。マーリンズは1997年、タイガースは2006年と2012年、レッドソックスは2018年、フィリーズは今年だ。ポストシーズン進出の回数は、その倍に達する。1997年のマーリンズと2018年のレッドソックスは、ワールドシリーズも制した。

 フィリーズがドンブロウスキを招聘したのは、2020年12月だ。2007~11年に地区5連覇――2008年はワールドシリーズ優勝、2008~09年はリーグ連覇――を成し遂げた後、フィリーズは9年続けて勝率.500以下に終わっていた。今年のポストシーズン進出は11年ぶり。ドンブロウスキが手腕を振るい始めてから、2度目のシーズンだ。

 ゼロに近い状態から、ドンブロウスキが選手を集めたわけではない。例えば、ブライス・ハーパーは2019年、ザック・ウィーラーは2020年から、フィリーズでプレーしている。けれども、昨オフにFA市場で手に入れたカイル・シュワーバーニック・カステヤノスや、この夏にトレードで獲得したブランドン・マーシュノア・シンダーガードデビッド・ロバートソンら、ドンブロウスキがフィリーズに加えた選手は少なくない。

 新たな選手だけでなく、昨年1月には、FAになったJ.T.リアルミュートと再契約を交わしている。また、今年6月に行った監督の交代も、ドンブロウスキの功績と看做していいだろう(「フィリーズのような「監督が途中で交代しながらリーグ優勝」は何度目!? ワールドシリーズ優勝は…」)。

 現在、ドンブロウスキは66歳だ。2019年の夏にレッドソックスから解雇された後は、1年以上のブランクがあった――テネシー州ナッシュビルにメジャーリーグの球団を誘致しようとするグループのアドバイザーを務めていた――が、30年以上にわたって行ってきた、編成の手腕は錆びついていなかったようだ。

 ドンブロウスキの契約は4年2000万ドルなので、あと2年が残っている。ちなみに、2015年の夏にタイガースから解雇された時は、その2週間後にレッドソックスの編成責任者に就任した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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