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同じチームで「投手と監督」だった2人が「GMと監督」としてタッグを組む

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・ヤング April 17, 2009(写真:ロイター/アフロ)

 テキサス・レンジャーズの監督に、ブルース・ボウチーが就任した。

 ボウチーにとっては、プレートの後ろでマスクをかぶっていた選手時代も含め、初のア・リーグとなる。また、メジャーリーグで采配を振ったのは2019年が最後なので、3年間のブランクがある。けれども、監督としてのキャリアは長く、実績も素晴らしい。

 1995年から2019年まで、ボウチーは、途切れることなく、四半世紀にわたって監督を務めた。ボウチー監督の下、サンディエゴ・パドレスは12年間に4度の地区優勝を飾り、2度目の1998年はリーグも制した。サンフランシスコ・ジャイアンツでは、13年間に地区優勝とワイルカードワイルドカードが2度ずつ。2010年と2012年と2014年は、ワールドシリーズで優勝した。ちなみに、2016年に「偶数年のワードシリーズワールドシリーズ制覇」は途切れたが、この年も、ジャイアンツはポストシーズンに進出している。

 3年前にユニフォームを脱いだのも、解任されたわけではない。「名将が今季限りで勇退。通算2000勝に到達できなくても、殿堂入りは間違いなし」で書いたように、ボウチーは、2019年をラスト・シーズンにすると宣言し、シーズンに臨んだ。現在の年齢は67歳だ。来シーズンの開幕早々に、誕生日を迎える。

 一方、レンジャーズでGMを務めているクリス・ヤング――こちらは、来年5月に44歳となる――は、投手として、メジャーリーグで計13シーズンを過ごした。2004~05年がレンジャーズ、2006~10年がパドレス、2011~12年がニューヨーク・メッツ、2014年がシアトル・マリナーズ、2015~17年はカンザスシティ・ロイヤルズだ。

 2006年のパドレスでは、ボウチーに起用され、31試合の先発マウンドに上がり、179.1イニングを投げてリーグ6位の防御率3.46を記録した。また、翌年以降は、ボウチーが指揮を執るジャイアンツを、先発6登板の41.0イニングで防御率1.32と抑えた。

 来シーズン、ボウチーの率いるレンジャーズがポストシーズンへたどり着くためには、今オフ、ヤングが投手陣を整備する必要がある(ボウチーと違い、ヤング自身が再びユニフォームを着ることはないし、仮にそうしても、かつてのような投球は望めない)。今シーズン、レンジャーズはリーグ5位の707得点を挙げたが、防御率4.22は4番目に高かった。ワースト4位ということだ。

 また、これまでにボウチー監督の下でポストシーズンに進出した延べ8チームを見ると、得点が少なかったことはあるが、防御率が悪かったことはない。

筆者作成
筆者作成

 なかでも、ヤングがいた2006年のパドレスは、ナ・リーグの16チーム中、ワースト4位の731得点に対し、防御率はベストの3.87を記録した。この年は、前年に続く地区連覇。ワイルドカードを含めて、パドレスが2年続けてポストシーズンに進んだのは、この2005~06年だけだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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