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12年前のドラフト上位3人が、ポストシーズンに揃って出場。ハーパーとマチャドの間に指名されたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイムソン・タイオン Sep 7, 2016(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今から12年前、2010年のドラフトで、ブライス・ハーパー(現フィラデルフィア・フィリーズ)は、ワシントン・ナショナルズから全体1位指名を受けた。この年の全体3位は、マニー・マチャド(現サンディエゴ・パドレス)だ。ボルティモア・オリオールズに指名された。現在、彼らは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズに出場している。ここまでは1勝1敗だ。4勝を挙げたチームがナ・リーグ優勝となり、ワールドシリーズへ進む。

 今年のポストシーズンには、ハーパーとマチャドの間に指名された選手も、出場している。こちらも、まだ敗退はしていない。ニューヨーク・ヤンキースの投手、ジェイムソン・タイオンがそうだ。指名したのはピッツバーグ・パイレーツ。投手に限れば、トップ・ピックだった。

 現時点のタイオンは、ハーパーとマチャドほどのビッグ・ネームではない。故障もあり、規定投球回に達したシーズンは2度だけ。今シーズンの年俸580万ドルは、ハーパーとマチャドの4分の1に満たない。それでも、2018年は191.0イニングを投げて防御率3.20とFIP3.46、今シーズンは177.1イニングで防御率3.91とFIP3.94を記録している。昨年1月、ヤンキースは、パイレーツからタイオンを手に入れるため、4人の若手を手放した。

 今オフ、タイオンはFAとなる。年齢は、来月の誕生日で31歳だ。ハーパーとマチャドのような、総額3億ドル以上の契約を得ることはないだろうが、FA市場では、エース級の投手に次ぐ存在として、人気を博しそうな気がする。

 初出場となった今年のポストシーズンは、ここまで2試合に投げている。ディビジョン・シリーズの第2戦は、リリーフとして打者3人と対戦し、3安打を喫して降板した。自責点2でアウトは記録できなかったので、この時点の防御率は∞(無限大)だった。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第1戦は、先発投手として4.1イニングで1失点。5回裏に1死二塁となったところで交代したが、相手がヒューストン・アストロズであることを踏まえると、よく投げたという見方もできる。

 シリーズ最初の試合で先発登板は、巡り合わせ――ディビジョン・シリーズが第5戦までもつれた上、その第5戦が雨で1日順延された――によるものだが、ヤンキースがアストロズにスウィープされなければ、次は、ヤンキー・スタジアムの先発マウンドに上がることになりそうだ。

 なお、タイオンと投げ合ったジャスティン・バーランダーも、ドラフト全体2位だ。2004年のドラフトで、デトロイト・タイガースに指名された。この年の全体1位と3位は、マット・ブッシュ(現ミルウォーキー・ブルワーズ)とフィリップ・ハンバーだ。彼らはいずれも投手だが、バーランダーとハンバーと違い、ブッシュは遊撃手としてプロ入りした。

 ブッシュの紆余曲折については、こちらで書いた。

「堕ちたトップピック・コンビ結成!? 出所したドラフト全体1位がレンジャーズに入団」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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