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ポストシーズン通算奪三振の歴代1位が、2日間に2度入れ替わる。カーショウ→バーランダー→カーショウ

宇根夏樹ベースボール・ライター
クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)Oct 12, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ポストシーズン通算奪三振の歴代1位が、2日間に2度入れ替わった。10月11日、ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)は、ディビジョン・シリーズの第1戦で3三振を奪い、通算奪三振を208とし、それまで歴代1位にいた207奪三振のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)を上回った。その翌日、カーショウは、別のディビジョン・シリーズの第2戦で6奪三振を記録し、バーランダーを抜き返した。

 彼らに次ぐ歴代3位は、199奪三振のジョン・スモルツだ。2009年を最後に引退し、その後、殿堂入りしている。現役投手で3番目に多い、164奪三振(歴代6位)のマックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)は、すでに今年のポストシーズンから姿を消した。メッツは、ワイルドカード・シリーズで敗退した。

 遡ると、スモルツを抜いて歴代1位に立ったのは、バーランダーだった。2019年のワールドシリーズ第2戦で6三振を奪い、この時点で202奪三振。第6戦に3奪三振を加えた。カーショウは、2019年のポストシーズンを終え――ドジャースはディビジョン・シリーズで敗退した――170奪三振だった。翌年、バーランダーの登板は開幕戦だけ。カーショウは、ポストシーズンの5登板で計37三振を奪い――ドジャースはワールドシリーズで優勝した――バーランダーを追い抜いた。

 ドジャースもアストロズも、ポストシーズン進出を継続している。ドジャースは2013年から10年連続、アストロズは2017年から6年連続だ。だが、カーショウもバーランダーも、昨年のポストシーズンでは投げていない。バーランダーは、レギュラーシーズンも全休した。

 2009年以降の各年が終わった時点における、ポストシーズン通算奪三振の歴代1位は、2009~18年が199奪三振のスモルツ、2019年が205奪三振のバーランダー、2020~21年が207奪三振のカーショウだ。今年のポストシーズンが始まってからの歴代1位(各日終了時点)は、10月10日までが207奪三振のカーショウ、11日が208奪三振のバーランダー、12日以降は213奪三振のカーショウと推移している。

 今年、バーランダーは、ディビジョン・シリーズの第1戦に6点を取られ、4イニングでマウンドを降りた。ヨーダン・アルバレスの逆転サヨナラ3ラン本塁打がなければ、負け投手になっていただろう。カーショウは、5イニングで3失点。自身に黒星はつかなかったものの、ドジャースは3対5で敗れた。

 両投手とも、ローテーションから外れることはまずないだろう。現時点では、カーショウが213奪三振、バーランダーは208奪三振。ドジャースとアストロズがともにワールドシリーズまで進めば、同じ試合で2人が投げ合い、その最中に奪三振の歴代1位が入れ替わる可能性もある。バーランダーがそれまでに差を詰めるか、投げ合いながら差を縮めていけば、イニングごとに歴代1位と2位の交代が起きてもおかしくない。

 もっとも、奪三振の多いほうがチームを勝利に導く、とは限らない。

 ちなみに、カーショウとバーランダーは、レギュラーシーズンでもポストシーズンでも、一度も投げ合ったことがない。カーショウは、ナ・リーグのドジャース一筋。バーランダーは、ア・リーグのデトロイト・タイガースとアストロズで投げてきた。

 後にアストロズのサイン盗みが発覚した、2017年のワールドシリーズで、カーショウは、第1戦と第5戦の先発マウンドに上がり、第7戦は3回表から4イニングを投げた。バーランダーは、第2戦と第6戦に登板した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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